アウディRS5カブリオレ

公開 : 2012.12.13 17:29　　更新 : 2017.05.29 18:18

■どんなクルマ？

4シーターで、4WD、444bhp、そしてファブリック・ルーフというヘビー級の組み合わせは、おそらくクワトロGmbHぐらいにしか出来ない芸当ではないだろうか。この68,960ポンド(930万円)するRS5カブリオレは、来年デビューするBMW 4シリーズの強力なライバルというポジショニングを持つ。

そのパワー・トレーンは必然的にクーペと共有する。エンジンは4.2リッターのV8で、7速デュアル・クラッチが組み合わせられる。ラウンチ・コントロールと、高度なクワトロ・システムの組み合わせによって、その0-100km/hのタイムは4.9秒をマークする。

そのソフトトップは50km/h以下の速度であれば走行中でも15秒でオープンにすることができ、逆に17秒でクローズにすることができる。そのフードをしまい込むためのスペースは60リッターで、320リッターの荷室スペースが残される。

■どんな感じ？

あなたがこのクルマに望むすべてを、RS5は叶えてくれるわけではない。その高い価格を正当化するほどのものはないということだろうか。これはしばしばクワトロGmbHの造り出すモデルに言われることだ。

しかし、勘違いしないで欲しい。このクルマが、高いパフォーマンスを持ったモデルであることは間違いない事実だ。確かにベースとなったA4は、デビューからいささか年月が経ってしまっているが、それでもそのひとつひとつの造りはいまもって色褪せない素晴らしいものだ。

ルーフを上げると、本当に静かな空間がそこに出現する。また、そのスタイルは素晴らしいのひとこと。RSブランドのこのモデルは、広げられたトレッドと、大型化されたエア・インテークを持つフロント・バンパーでその存在を主張するが、押しの強い筋肉とをもつ彫刻のようなフォルムは見事としかいいようがない。

もちろん、RS5は遅いクルマであるはずがない。444bhpのピーク・パワーと、43.8kg-mのピーク・トルクは、V8サウンドと共に発揮され、シャープなギアボックスがさらにそのパワー・フィールを手助けする。ボディ剛性も、クーペから引き継がれており、しなりといったものはほとんど感じられないのだ。

■「買い」か？

もし4人が快適に移動することを望むのであればA5 3.0TDIが良いし、オープンエアが必要であればS5のカブリオレで充分だ。ぞくっとするようなパフォーマンスを望むのであればBMW M3は良い買い物だし、リアシートとブート・スペースを放棄するのであればポルシェ・ボクスターSは、このRS5よりもかなり安く手に入る。

しかし、高いパフォーマンスと、4シーターであり4WDであることを望むとこのRS5となるのだろう。しかし、それはあまりにニッチなマーケットということができよう。

(ニック・カケット)