ポルシェ・カイエンGTS
公開 : 2012.12.25 18:11 更新 : 2017.05.29 19:07
■どんなクルマ?
ポルシェ・カイエンの中でも最もドライバー志向なモデルがこのGTSだ。前世代でも人気を博したガソリンのV8Sとターボの間を埋めるモデルだが、われわれは初めてこのGTSを英国の道でテストした。
GTSはターボと同じ、大きなエア・インテイクを持つフロント・バンパーと、大きなルーフ・スポイラー、そしてブラックアウトされたエクステリア・トリムを持つ。また、そのボディ・カラーを問わず、ブラックのホイールが与えられている。
インテリアは、リア・シートが通常の3シーターから2シーターに変更され、キャビンはアルカンタラと本革で覆われている。
■どんな感じ?
4.8リッターのV8は、そのパワーが394bhpから414bhpへとアップされ、8速のオートマティック・ギアボックスもクイックなレスポンスを得るように変更され、ファイナル・ドライブ・レシオも低く設定されている。その結果、パワーこそ確かにターボよりも少ないものの、機敏なレスポンスを持つパフォーマンスが与えられている。
低速では機敏過ぎるほどのレスポンスで、キックダウンも敏感だ。しかし、ステアリング・ホイールに付けられたバドル・シフトでマニュアル・モードにすればそれは気にならなくなる。
ナチュラル・アスピレーションのV8エンジンは、高回転機域では非常に良い音を奏でてくれる。感動的なのは、そのハンドリングを通して伝わってくるクルマと人とのインタラクションのレベルが非常に高いということだ。
その車高はエア・サスペンションにより20mm低くなっており、PDCCアクティブ・アンチロールバーとトルク・ベクタリング(共にオプションだが絶対に外してはならない装備だ)との組み合わせで、通常のカイエンよりも外部入力に影響されにくいセッティングとなっている。
その機敏さは2トンのボディからは想像がつかないもの。その豊かな感じがパーフェクトな重さのステアリングを通して伝わってくるし、スポーティではあるが、そのシートも快適だ。
英国の道では、スポーツ・モードでの乗り心地はせわしなく、逆にコンフォート・モードだとそわそわした感じがしたが、ノーマル・モードであればその乗り心地もボディ・コントロールも完璧なものだった。
確かにGTSのドライバー志向のクルマだが、そのためにそれ以外の乗客が犠牲を強いられることはないクルマだ。
■「買い」か?
狂った速いSUVを求めるのであれば493bhpのカイエン・ターボがおすすめだ。しかし、他に911を持っているのであれば、それより20,000ポンド(270万円)安いGTSがおすすめだ。ドライバー・アピールと通常のユーザビリティがよくバランスのとれた1台ということができるだろう。
(アラン・ミュア)
ポルシェ・カイエンGTS
価格 | 67,147ポンド(877万円) |
最高速度 | 260km/h |
0-100km/h加速 | 5.7秒 |
燃費 | 9.3km/l |
CO2排出量 | 251g/km |
乾燥重量 | 2065kg |
エンジン | V型8気筒4806cc |
最高出力 | 414bhp/6500rpm |
最大トルク | 52.5kg-m/3500rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |