レクサスLS600h-Lプレミア
公開 : 2013.03.14 18:18 更新 : 2017.05.29 19:24
■どんなクルマ?
5代目社長である豊田英二が、欧米のライバルに対抗できうるラグジュアリー・カーを作るように号令をかけてから30年の時が流れた。その結果生まれた最初のレクサスは、6年間の開発期間と、450ものプロトタイプを基に造られたモデルだった。そして、それはアメリカで成功を収めることになる。
現在、4回目のフェイスリフトを受けたレクサスLSだが、ヨーロッパの本当のラグジュアリー・モデルに肩を並べるまでには至っていない。しかし、トヨタのフラッグシップを販売するために、まじめにその微調整に取り組んでいるのも事実だ。
今回、僅かに肉感的になったオーバーハングやヘッドランプのアップデート、赤外線を使って乗員の顔の温度を測って設定に反映させる4ゾーンのエアコン、そしてマルチフェースのLEDライトニングなどが、99,495ポンド(1,420万円)のレクサスLS600h-Lプレミアに標準装置となっている。
■どんな感じ?
ロング・ホイールベースを持ち、389bhpの5.0ℓV8ガソリン・エンジンと、221bhpの電気モーターというハイブリッド・ユニットを搭載。そして、4輪駆動というシャシー・レイアウトはそのままだ。その重さは2トン半近くではあるが、E CVTトランスミッションを介する0-100km/h加速は6.1秒という俊足ぶりを示す。
サスペンションは、プログレッシブなリバウンド・レートを持つスプリングに変更され、マルチリンクのブッシュも硬くされた。これは、ボディ・ロールを少なくするためにとられた手法だ。そして、5つのモードが選択できるニュー・ドライブ・セレクト・システムも備える。
その着座位置はどのライバルとくらべても高いので、多くのショファーは、その大きさに比較して運転しやすいと感じるはずだ。
しかし、そのステアリングは修正されたとは言え、入力に対して調和性が良くない。その売り物である4WDシステムは高いグリップを生み出してはいるが、それは結局誰にもわからないようなもの。尤も、マーク・レヴィンソンのオーディオ・システムに耳を傾け、本革シートに座ってマッサージをされているリアのパッセンジャーにとっては、そんなことは関係ないことなのかもしれない。
但し、オットマン・スタイルのシートに座っているパッセンジャーにとっても、その振られるような乗り心地には少し不満があるかもしれない。ジャガーXJやメルセデスのSクラスは路面との調和を大事にセッティングされているが、レクサスLSは少し軽率な感じがするのだ。
確かに静かで吸収力はあるのだが、英国の波打った路面が連続するような道では、その神経質な動きから逃れることができなかった。
■「買い」か?
そのセットアップに関しては主観的なものかもしれないが、現実問題としてはまず価格が気にかかる。4.2ℓのTDIエンジンを搭載したアウディA8は、レクサスよりも20,000ポンド(290万円)も安く、CO2排出量も1g/km少ない198g/km。しかも燃費は13.3km/ℓと1.7km/ℓも良い。逆に、15,000ポンド(215万円)高くなってしまうが、メルセデスのS600Lは、更にラグジュアリーなモデルである。
(ニック・カケット)
レクサスLS600h-Lプレミア
価格 | 99,495ポンド(1,420万円) |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h加速 | 6.1秒 |
燃費 | 11.6km/ℓ |
CO2排出量 | 199g/km |
乾燥重量 | 2440kg |
エンジン | 直列6気筒4969cc+モーター |
最高出力 | 439bhp/6000rpm |
最大トルク | 53.0kg-m/4000rpm |
ギアボックス | E-CVT |