雪だけじゃない! オールシーズンタイヤ「VECTOR 4SEASONS」 GEN-3の進化点を探る

公開 : 2023.04.25 07:00

出来のいいクルマ タイヤも妥協したくない

じつはVECTOR 4SEASONS GEN-3にはSUV用モデルもあるのだが、2008に合うサイズは通常のモデルのほう。ハッチバックをちょっとだけ背高にしたと言える2008は、一般的な乗用車用サイズだからだ。

プジョーはコンパクトカー造りにおいては右に出る者がいないほど優秀で、2008もBセグメントとしてはパワートレイン、シャシー、静粛性なども高評価なモデル。

とくにどっしりと落ち着いた乗り味は印象的で、CセグメントやDセグメントにもひけをとらないほど。

以前のプジョーのイメージほどにはサスペンションはソフトタッチではなく、路面の凹凸を通過するとやや引き締まったフィーリングなのだが、ダンピングが効いているので上下動の収束が素早く、フラットな姿勢を保つ。それでいて、不快な硬さを感じさせないのが巧みなところだ。

クルマの良さを活かせるワケ

そういった特性のシャシーは、タイヤがしっかりしていないと旨みが落ちてしまうものだが、VECTOR 4SEASONS GEN-3は標準装着のサマータイヤとほとんどかわらない乗り味だった。

VECTOR 4SEASONSの代名詞でもあるV字のトレットパターン。GEN-3ではショルダーブロックとアンダートレッドを強固にし、タイヤの変形を抑えてハンドリング性能を高めている。

とくに、ステアリングを切り込んだときの“遅れのない反応”、切り増しに対して“舵が効く感覚”は印象的とさえ言える。

従来に比べると、トレッド部が高剛性化されていて全体的なしっかり感が向上した。

また、ショルダーブロックが強固になっていること、グルーブに設けられたブレードがブロック間をお互いに支え合う3Dトレッドテクノロジーによって、コーナリング時のタイヤ変形が少ないことが功を奏しているのだ。

以前にクローズドコースでスラローム等を試したこともあるが、そこでも進化は明らかに感じられたが、リアルワールドで走らせても印象にかわりはない。2008のレベルの高いシャシー性能とのマッチングも良好だ。

もう1つの驚きは静粛性の高さだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    石井昌道

    Masamichi Ishii

    1967年生まれ。自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。ワンメイク・レースへの参戦も豊富で、ドライビング・テクニックとともにクルマの楽しさを学んできた。国産車・輸入車のいずれの知識も幅広く、ジャンルを問わない執筆活動を行う。最近では、エコドライブの研究、それを一般ドライバーへ広く普及させる活動に力を入れている。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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