タタ・ナノ・ツイスト
公開 : 2014.02.12 23:10 更新 : 2015.06.17 10:08
■どんなクルマ?
世界で最も安いクルマ、タタ・ナノのアップデートされたモデルだ。タタは、数年毎の大きなマイナー・チェンジよりも、毎年年次モデルに小改良を加え続けてきている。そのほうが、最新バージョンの価格を引き上げることができるからなのだろう。事実、ナノは、ここ2、3年の間に、サスペンション、シート、エルゴノミクス、エンジン、ギアボックス、グローブボックス、オーディオ・システム、そして左のウイング・ミラーなどに改良を施してきている。
2009年に発売が開始されたナノであるが、今回2014年モデルの改良は実に大きいものだった。そのツイストというグレード・ネームからもわかる通り、ついにパワー・ステアリングが装備されたのである。ボッシュとZFの共同で開発されたこのパワー・ステアリングは、ブラシレスの電動というものである。
■どんな感じ?
端的に言えば、このパワー・ステアリングの装着によって、ナノはシティ・ビークルとしての魅力を増したことになる。これまでのノン・パワー・アシストのモデルでは、パーキングなどでひどく力が必要だったが、このパワー・ステアリングの装備によって、駐車は非常に楽にリラックスできるものとなった。クルマが停止していても人差し指でステアリングを回すことができるようになったのだ。
ただし、そのステアリングは非常に軽く、路面の接地感はまったく伝えてくれない。ただ、パワー・ステアリングだけをとって、このクルマの性能すべてを語るというのは不公平だ。また、80km/hでの高速安定性は良い。
タタの採用したこのステアリングは少々他とは異なっている。というのも、センター・ポジションに戻すための “アクティブ・リターン” システムを備えているからだ。これは、フロントの荷重が少なく、セルフ・アライニング・トルクを発生させることが難しいがゆえの装備だ。このシステムは、トルク・センターとステアリング・モーターを使用して、センター・ポジションに強制的にステアリングを戻すとうもの。
タタは2013年6月に、最新のナノを発表している。その時の最大の変化は新しいインストルメント・クラスターの採用だ。燃料計と水温計がLEDとなり、トリップ・コンピュータと燃費計が付けられた。しかし、われわれはそれ以前のモデルのレブカウンター付きのほうが好ましかったような気がする。
■「買い」か?
また、タタ・ナノは完璧なクルマではない。より広いトレッドを持たせたフロント、大きなミラー、5速ギアボックス、よりモダンなブレーキなど改善点は山のようにある。しかし、世界で最も安いクルマという点は妥協できないという事情もあるのだ。
今のところ、今回のパワー・ステアリングの採用は良い選択だったと思う。また、発売から改善された乗り心地、快適なシート、より軽くなったクラッチ、操作性がよくなったギアシフトなど、完全なシティ・カーに近づいているというのも事実だ。
その価格を考えれば、充分に見合う性能であるとも言えるだろう。
(ゲイビン・ダソウザ)
タタ・ナノ・ツイスト
価格 | £2,500(42万円) |
最高速度 | 105km/h |
0-100km/h加速 | 27.5秒 |
燃費 | 23.8km/ℓ |
CO2排出量 | NA |
乾燥重量 | 660kg |
エンジン | 直列2気筒624cc |
最高出力 | 37bhp/5500rpm |
最大トルク | 5.3kg-m/4000rpm |
ギアボックス | 4速マニュアル |