ジャガー・プロジェクト7

公開 : 2013.08.03 20:00  更新 : 2017.05.29 18:38

■どんなクルマ?

ジャガーのコンセプト・モデル、プロジェクト7が、グッドウッド・スピード・オブ・フェスティバルでデビューした。これは、F-タイプをベースにブルーのペイントをまとったマシンだ。

それは4ヶ月で急ごしらえで作ったモデルではある。ジャガーのデザイナー、セザール・ピエールが3月にデザイン・スケッチを起こし、2日後にデザイン・ディレクター、イアン・カラムの机の上に置いた。そして、そのスケッチが採用され、グッドウッドのためにリリースすることが決定したのだ。

更なるスケッチが検討され、コンピュータ・モデリングがゲイドンで3、4週後に完成した。そのスタイリングは、D-タイプからインスピレーションを受けたもの。F-タイプのボディには、カーボンファイバーのフロント・スピリッターと、サイド・スカート、リア・ディフューザーが装備された。フロント・ガラスはカットダウンされ、ロールオーバー剛性も高められた。最後の1週でシャシー・セットアップがゲイドンで行われたという。

そして、プロジェクト7はグッドウッドでリリースされた。3日間で5回の走行を見せたのである。

■どんな感じ?

メカニカル的にはプロジェクト7は、F-タイプV8Sのスープアップ・モデルだ。エンジンは、V8Sに搭載される489bhpは5.0ℓのスーパーチャージャー付きに代えて、XKR-Sに搭載されている542bhpが搭載されている。ボディ重量はほとんど変わりなく、ファブリック・ルーフを排したことによりリア部分が20kgほど軽くなっただけだ。1810kgのボディに20kgの軽量化はほとんど影響がないものと言えよう。

サスペンションは10mm低くされ、20インチのブレード・アロイ・ホイールが装備される。プロジェクト7の最も大きな変更点は、50mmほど低くセットされたバケット・シートだ。

フロント・グリルはメッシュタイプにされ、ボディ・カラーはエキューリ・エコッセを思わせるブルーにペイントされた。D-タイプを思わせるフェアリング、そしてリアのラウンデールが特徴だ。これは、間違いなく、ル・マンのリファレンスを思わせるものだ。1950年代でのジャガーはD-タイプでの勝利を含め、合計7回もル・マン24時間で勝利を収めている。

インテリアは、マグネシウムのギアシフト・パドルを持ち、カーボンファイバー製のコンソールが取り付けられる。これはF-タイプでもオプションとして選択することができるものだ。

そのエンジン・サウンドは、お馴染みのもの。ギアボックスをSに入れて走り出して30秒もせずに雨が舞って来た。そのため僅か3周しかテスト・ドライブは許されなかった。

しかし、その良いフィーリングは分かった。5分間のフルスピードでのテストは実に有用だった。

1790kgのボディに542bhpの組み合わせは、僅か4.0秒で96km/hに達する。54bhpの余分なパワーは、スタンダードなV8Sの4.1秒よりも僅かに速い。しかも、300km/hの最高速を現実的に導き出す。

セカンド・ギアでクリアするヘアピン・コーナーの立ち上がりでは、綺麗にリア・ホイールがスライドする。ステリングは若干軽い用な感じがしたが、それはしばらくF-タイプをドライブしていなかったことが影響しているのだろう。

サーキットで気持ち良いドライビングが味わえたのは、非常にバランスのとれたシャシー・セットアップのおかげだろう。

■「買い」か?

プロジェクト7は、それがコンセプト・モデルであるかどうかは大きな問題ではない。より刺激的なF-タイプを造ることができたかどうかが問題なのだ。そしてその結果は、ドライブしていて気持ちの良いクルマが出来たと言える。そして、そのクルマを作り上げたジャガーというメーカーに、今後多くの期待を持つことが出来よう。

(マット・プライヤー)

ジャガー・プロジェクト7

価格 NA
最高速度 300km/h
0-100km/h加速 4.1秒
燃費 8.1km/ℓ
CO2排出量 290g/km
乾燥重量 1790kg
エンジン V型8気筒5000ccスーパーチャージャー
最高出力 542bhp/6000rpm
最大トルク 69.3kg-m/2500-5500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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