4WDの進化に貢献 メルセデスG5 ウイリスMB ランドローバーほか 四輪駆動の傑作25選 前編
公開 : 2023.04.29 07:05
今では小型車にも設定される四輪駆動。SUVも人気車種の1つです。英編集部が技術進化に貢献した傑作25台をご紹介します。
もくじ
ー四輪駆動の進化に貢献した傑作モデル
ー1903年:スパイカー60HP
ー1937年:メルセデス・ベンツG5
ー1938年:GAZ-61
ー1941年:ウイリスMB
ー1948年:ランドローバー・シリーズワン
ー1951年:トヨタ・ランドクルーザー
ー1958年:オースチン・ジプシー
四輪駆動の進化に貢献した傑作モデル
四輪駆動が一般的な自動車へ普及するには、短くない時間を要した。しかし近年は、車高を持ち上げたSUVへ人気が集まっているのはご存知の通り。
そこで今回は、四輪駆動という技術の進化に貢献した傑作モデルの一部を、時系列で振り返ってみたい。やや英国車寄りだが。シリアスな軍用車両から高性能なスポーツカー、身近なファミリーカーまで、幅広いラインナップだという事実は興味深い。
1903年:スパイカー60HP
オランダ(ネザーランド)の自動車メーカー、スパイカーは、レースでの勝利を目的に、世界初となるガソリンエンジンを動力源とした四輪駆動車を開発した。今から120年前の1903年に。
四輪駆動という駆動方式が選ばれた理由は、パリからマドリードまでの荒れた路面に対処するため。しかし完成が間に合わず、目的のレースへは出場していない。
世界初となる四輪駆動システムは、リアへのドライブシャフトと同様に、トランスミッションの前側からフロントアクスルへ向けてドライブシャフトを追加し実現。エンジンは8.8Lという巨大なものが載っていた。
1904年にスパイカーは60HPを完成させ、英国ブラックプールで開催されたレースに参戦。バーミンガムで開かれた1906年のレースでは、優勝を掴んでいる。
1937年:メルセデス・ベンツG5
フォルクスワーゲン・キューベルワーゲンは、第二次大戦時に作られた小型の多目的車両として活躍したが、これは基本的に後輪駆動。四輪駆動を実戦に投入したのは、メルセデス・ベンツだった。
フォルクスワーゲンもリアエンジンで四輪駆動システムを試作しているが、量産には至っていない。メルセデス・ベンツは、一般的なエンジンとトランスミッションのレイアウトを採用し、実現しやすかったようだ。
コード番号W152と呼ばれるG5は、2.0Lの44psエンジンをフロントに搭載。5速MTを搭載するが、オフロード向けに1速のギア比は極端にローレシオになっていた。
終戦を迎えると、G5の多くは山岳救助任務に当てられた。30km/hまで利用可能な後輪操舵システムも備え、優れた機動性が高く評価されていた。
1938年:GAZ-61
ロシアの自動車メーカー、GAZ(ガズ)は、61という革新的な四輪駆動モデルを生み出した。オフロード向けのシャシーに、一般的な乗用車タイプのボディを組み合わせて。
大人5名が快適に移動できるだけでなく、過酷な悪路にも対応。ある程度の河川も横断できた。エンジンは3.5Lの6気筒で、最高出力は85ps。最高速度は106km/hと、当時としては不足ない動力性能も備えていた。
61は第二次大戦の終わりまで生産が続き、1945年に実用性を高めたGAZ-64へバトンタッチしている。クロスオーバーの先駆けのようなモデルだ。