【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格

公開 : 2024.06.25 11:15

・今日6月25日日本発売のBYDシール
・日本で乗った第一印象をレポート
・乗り味を他の中国車と比較すると?

最初の1000台は超お買い得価格!

2024年6月25日、中国の自動車メーカーBYDは、待望の純電動セダン「シール」を日本で発売した。

希望販売価格は後輪駆動(RWD)モデルが528万円、全輪駆動(AWD)モデルが605万円となる。そこへ政府のCEV補助金が35万円になると予定されているので、それぞれ実質493万円と570万円。

BYDシールに国内最速試乗
BYDシールに国内最速試乗    加藤博人

また、販売を促進するべく、最初の1000台は「導入記念」として限定特別価格で販売する。RWDが495万円、AWDが572万円、CEV補助金適用後でそれぞれ460万円と537万円となる。

シール最大の魅力はそのコストパフォーマンスにある。一充電で500-600km走れる加速の良い純電動セダンでこの価格は、かなり挑戦的と言え、シールの魅力となるだろう。

発売にさきがけ、6月11日に行われた報道発表会、および御殿場近辺の試乗に参加した。
2003年に自動車産業へ進出したBYDは自動車メーカーとしてはまだ20年ほどの歴史だが、2023年には全世界で年間302万4417台を販売、EV(BEV+PHEV)販売で首位となった。

そのうちBEVは157万4822台、PHEVが143万8084台となっており、BYDはBEVと同じくPHEVにも力を入れている。

一方で、2023年より乗用車の販売を開始した日本市場では、現時点ではBEVのみの販売となる。2023年1月の「アット3」、同年9月の「ドルフィン」に続き、このたび日本市場第3弾車種となる「シール」がついに発売された。

シールは当初、2023年中に発売予定としていたものの、国内法規への適合や認証関連で手こずり、「2024年初夏」へと延期されていた。

日本ではRWDとAWDを販売

シールは2022年8月に中国本国で発売されたセダンで、海洋生物や艦種から車名を名付ける「海洋シリーズ」におけるフラッグシップモデルだ。

サイズは全長×全幅×全高=4800×1875×1460mm、ホイールベース2920mmで、同じく日本で購入できる純電動セダン「テスラ モデル3」(4720×1850×1441mm)よりも若干大きい。

BYDシールに国内最速試乗
BYDシールに国内最速試乗    加藤博人

試乗は出力312psのRWDモデルと、530psのAWDモデルの2種類が用意された。もちろん、日本では2モデルとも販売される。

今回、試乗に用意された時間はそれぞれ1時間、コースは御殿場を起点として箱根スカイラインまで走り抜けることが想定されており、日本特有の狭い峠道を経由して三国山が誇る景色の良さをシールで体験できたのは新鮮だった。

御殿場市街地では日常的な領域を想定しての体験に重きを置いた。一般的な道路の凹凸から狭路における取り回しのしやすさまで、おそらくこの部分が大半の消費者が気にするところだろう。

足回りのセッティングはどちらかと言うと硬めで、路面から来る揺れを最小限にとどめている。

昨年60台以上の最新中国車を試乗して感じた個人的な印象としては、足回りに力をいれる中国車はしなやかで柔軟な「フランス車的発想」と、硬めでスポーティな「ドイツ車的発想」に分類できると思っている。

新興EVメーカー「シャオペン」や、ボルボも傘下に収める「ジーリー」は前者、そしてBYDは後者に該当する。

車体の剛性はバッテリーパックをフロアと一体化させる「セル・トゥ・ボディ(CTB)」を採用しており、パック自体が補強を担う。これにより40500Nm/degというF80型BMW M3や、ロールス・ロイス ゴーストに匹敵するねじり剛性を誇る。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤博人

    Hiroto Kato

    山口県下関市生まれ、横浜在住。慶應義塾大学環境情報学部に在学するかたわら、各自動車メディアにて「中国車研究家」として中国の自動車事情について「クルマ好き」の視点で多様な記事を執筆する。また、自費出版で中国モーターショーのレポート本「中国自動車ガイドブック」シリーズも手掛けている。愛車は1998年型トヨタ カレンと1985年型トヨタ カリーナED。

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