19インチじゃダメ? メルセデスAMG CLE 53 長期テスト(3) 開放的なコンバーチブル

公開 : 2025.04.19 09:45

クラシカルなクーペ・シルエットが麗しい、ハイテク満載のAMG CLE プレミアム・ラグジュアリーへの回帰を感じる雰囲気 肉肉しいマッスルカー的走り 英編集部が長期テストで魅力を深掘り

積算3782km 今までのノーパンクは奇跡?

グレートブリテン島の公道の鋪装は、正直褒められるものではない。日々様々なクルマを試乗する筆者、イリヤ・バプラートが、今までパンクしたことがなかったのは奇跡といってよかった。しかし、遂にやらかしてしまった。

同僚の試乗レポートを読み、以前から気になっていたメルセデスAMG CLE 53。長期テスト車両になり、1週間お借りできる日を心待ちにしていた。6気筒エンジンを積んだスタイリッシュなクーペは、多くの人が好きなタイプだと思う。

積載車へ積まれたメルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス
積載車へ積まれたメルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス

ただし、乗る前から20インチ・ホイールに巻かれたタイヤは薄すぎるように見えていた。乗り心地がどんなものなのか、少し心配でもあった。

担当者のマーク・ティショーからカギを借りて、お気に入りのルートへ。気持ち良く飛ばしていたら、木陰へ紛れるようにアスファルトへ大きな穴が。車線は狭く、全幅は広く、充分に避けることはできなかった。

ガシン、という酷いノイズが耳へ届く。嫌な予感は的中し、エア圧センサーは左のフロントタイヤの圧力が低下していると教える。ステアリングは左へ引っ張られる。緩やかに減速し、AMG CLE 53を路肩へ寄せた。

サスアームにもダメージ 19インチじゃダメ?

パンク修理キットでは手に負えなかったが、ホイールやボディは幸い無傷な様子。メルセデス・ベンツ・アシスタンスへ電話を入れると、丁寧な対応を経て、ロードサービスへ引き継がれた。

長期テストでお借りしているのは、広報用車両。通常なら最寄りの正規ディーラーへ運ばれるはずだが、グレートブリテン島中南部、ミルトン・ケインズのメルセデス・ベンツUKまで運搬することに。

メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ クーペ・ナイトエディション・プレミアムプラス(英国仕様)

積載車を待っている途中に電話があり、タイヤ交換が提案された。しかし、純正仕様のミシュラン・パイロットスポーツS5は扱いがないとのこと。AMG CLE 53は2時間後にやってきた積載車へ載り、筆者も自宅まで送迎されつつ、修理へ向かった。

後日メルセデス・ベンツUKから電話があり、前後のサスペンションアームにもダメージが及んでいると知らされた。自分のクルマだったら、見積書を見て青ざめていただろう。

メルセデス・ベンツ・アシスタンスの対応は素晴らしかった。AMG CLE 53も素晴らしいクーペだと実感した。しかし、大径ホイールと極端な扁平タイヤは好きではない。

グレートブリテン島のアスファルトは、すぐに改善できるものではない。AMG CLE 53のタイヤは前後でサイズが異なり、簡単に入手もできない。一般的なサイズの19インチでは、理想の走りから遠ざかるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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