社会人1年目、ポルシェを買う。
2016.06.29
第20話:重い腰あげ、いざメイヘン。
名義変更をすることをためらっていたのは、
理由にならない理由がふたつあったからだ。
ひとつ、面倒。
ふたつ、つかの間の横浜ナンバーを味わっていたい。
これまでも、都合3台くらいは、
自分で名義変更をしたのだけど、
あちこちに書類や証明書を取りにいったり、
たくさんの情報を書かねばならない。それも平日に。
そのうえ、
メイヘン前の所有者の拠点のおかげで
横浜ナンバーがついている
(=田舎者の僕にとっては、なんだかかっこいい)。
ふり返ってれば実に安易な理由だけれど、
そんなふたつの ‘実際的な’ 理由で、
メイヘンを先延ばしにしていたのだった。
ただ、いつまでもしないわけには当然いかない。
厳密には月末に前所有者の印鑑証明の期限が切れる。
だから重い腰をあげて書類をそろえることにした。
まずはどんな書類が必要なのかをリスト・アップ。
陸運局にいくまでに、区役所、警察署、不動産屋で
必要な書類をそろえなければならなかった。
ちなみにナンバー・プレートの数字は希望番号にした。
インターネットで申し込んだあとに手数料を振り込み、
交付された番号をみると「川崎 330 さ」とあった。
普通乗用車の抽選対象外の分類番号は「330 さ」
からはじまるから、1999年5月の全国導入以来、
僕が選んだ4桁は1度として誰にも希望されなかった
ということを意味するではないか。ちょっとうれしい。
さて、つまらぬウンチクはこの辺にしておいて、
あとは月末にいけばいいやと思っていたところ、
「早めにいっておいたほうがいいんじゃない?」
と、キューサンマルのセンパイの声。
こういうときは、いうことを聞くにかぎる
と、素直に受けいれたといえば嘘になるけれど
(だって面倒じゃないですか……)、
ここはひとつ、ということで予定を前倒していった。
川崎ナンバーが交付される陸上運輸局は、
神奈川県川崎市のなかでも川崎区という、
東京湾側(工場地帯)の地域にあるから、
僕の家からクルマでいくにしても1時間以上かかった。
窓口のひとは ‘お役所感’ がなく気持ちがよかった。
簡単な地図と建物の壁に記された印のおかげで
迷うことなくスムーズに手つづきが進んだ。
いよいよナンバーが変わるな、と思ったところで
「上野さん、たいへん申し訳ないのですが
書類……違います……」
――え?!
「これは車庫証明 ‘申請書’ でして……」
そう、申請書を書いただけで満足していた僕は、
警察署に申請せずに
―つまり保管場所標章番号をもらわずに―
陸運局の窓口に颯爽と向かったのだった。
また1時間ずつ往復? その時の落胆たるや……。
オフィスに帰るやいなや、
予想どおり全員に大爆笑される始末。
かっこ悪すぎてほんとうはこのことも ‘隠蔽’ する
予定だったが、諸先輩方が書け書けというもので……。
結局のところ、警察署への申請→承諾までも
時間がかかるため、広島と栃木への出張を挟んで
10日後にようやくナンバーが変わったのであった。
これが月末ギリギリのことだったらと思うと
センパイの言うことは聞いておくべきだと改めて思った。
いざ、ナンバー・プレートがつくと
ようやくシャカイチ号が
自分のものになったような気持ちだ。
これからよろしく! と心のなかでつぶやいだ。
※今回も最後までご覧になってくださり、
ありがとうございます。
そうそう。
ナンバーがついてからの手入れは大変なので
ナンバーをつける前にワックスをかけると便利です。
不思議なものを見るような目で見られますけど……。
今後とも、[email protected] まで、
皆さまの声をお聞かせください。
もちろん、なんでもないメールだって
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