社会人1年目、ポルシェを買う。
2016.12.21
第43話:エンジンから、カラカラ音がする。
エンジンの中身というのは、けっこう複雑だ。
ポルシェを買ってからというものの
「あそこの部分がこうだよね」
というような話が増えるようになったのだが、
「うんうん」なんて、わかった素振りをしながら
絵が思い浮かばないということが少なからずある。
それをメモにまとめておいて、
Google画像検索をしたり、書籍を読む。
思うような結果がでてこないときに、
こっそりとルマン・ガレージの北島さんをたずねる。
たずねる度にそうそうたるスーパーカーのエンジンが
「そのへんに」分解された状態で転がっているからだ。
今回もそんなこんなで、
手土産の焼酎をもってお邪魔していた。
謎がとけて、満足していた。
エンジンをかけて、
ルマン・ガレージの前をでようとしたところで
「ちょっとまって!」と、北島さんの声。
けっこう大きい声だった。
「とりあえずもとの位置にもどして!
エンジン・フードあけて!」
ただごとではないかんじがして、慌ててフードを開ける。
ファクトリーからウエスをとって戻ってきた北島さんは、
「オイル足りててるの? これ!」とちょっと険しい表情で
聞いてくるではないか。
「デジタル・ゲージではちょっと減っているくらいで
走行距離を考慮しても、たぶん大丈夫……」と
言いおわる前に、オイル・ゲージを調べてくれている。
「ぜんっぜんつかねぇ!」と北島さん。
オイル・ゲージにオイルがほとんどつかないのである。
「ちょっとオイル補充してみるぞ
1ℓくらいは入るんじゃないかなぁ」と北島さん。
ファクトリーの奥の大きなタンクから、
オイルを小分けにして持ってきて注ぎたす。
オイル・ゲージを再度チェックしても、まだちょっとしかつかない。
「おいおいおい〜」と笑っているような、
笑っていないような表情の北島さん。
結局2ℓのオイルをシャカイチ号は勢いよく飲みこんだ。
「おれの潤滑油(=焼酎)もってきて、
きみのが足りてないってどーゆーことよ?」
などと冗談めかしくおっしゃっていたけど、
当然、呆れていたにちがいない。
たしかに「ポルシェのオイルは減りやすい」と
以前から聞いていたけど、(かなり恥ずかしいはなし)
5000kmたらずでこんなにも減るとは思っていなかった。
エンジンを掛けてしばらくすると、
シャカイチ号のアイドル音は
しゅるしゅる〜という、静かで心地よいものとなった。
猛反省。
デジタル・ゲージの読み方をちょっと間違っていた。
目視するのが、一番だと身をもって感じた。
ようやく、
ポルシェ・センターの門をたたくことを決めたのだった。
第44話:「ポルシェ・センターの門をたたく」は、後日公開予定。
※今回も最後までご覧になってくださり、
ありがとうございます。
(曲がりなりにも)ポルシェに乗っているひととして
最底辺のはなし、申し訳ありませんでした。
ポルシェと寄り添ってきたひとほど、
オイルのたいせつさを身にしみて感じているはず。
したがって、こんかいの話は、
あまりにもおバカすぎて書くことを迷いましたが、
僕にみたいなおバカしか書けないと
思い切って正当化して書いてみました。
だからあまり怒らないでください。
今後とも、[email protected] まで、
皆さまの声をお聞かせください。
もちろん、なんでもないメールだって
お待ちしております。