社会人1年目、ポルシェを買う。

2017.11.21

第55話:あなたのポルシェに乗せてください!(笹本編集長の930 SC編)

くり抜かれた岩の中にいるみたい

その日はとにかく暑かった。
ちなみに借りた930は、クーラーが効かない。
詳しい筋に聞いてみたところ
「直せば冷たい風がでてくるが
 『効く』かどうかはべつの話」というのが
総合的な意見だった。

笹本編集長も「これ1台だけってわけじゃないし
暑い日にわざわざ乗んないから」というわけで
後づけのコンプレッサーをつけたりせずに
オリジナルのパーツを大切にしていた。

まあいい。
そもそもクーラーで車内をキンキンに冷やしながら
ハイウェイをタラタラと走るようなクルマではない。

おれはいま硬派なクルマに乗っているのだ。ふん。

そう自分に言い聞かせながら
首都高に乗って、いつもの辰巳PAに行くことにした。

それにしても930の味は濃かった。
音、におい、ステアリングの反応ひとつとっても
これまで乗ったどんなクルマよりも生々しい。

ボディはミシリともいわない。
本来クルマって、
土台や鉄板を組みあわせてできるものなのに
930にいたっては大きな岩をくり抜いて作ったような感じ。

ドアは薄く、自分の目の前にガラスがあるのに
金庫の中の入っているような気持ちになった。

その日は珍しく混んでいた。
東名川崎から高速に乗り、
いつもの辰巳PAに着くまで2時間以上かかった。

着くとI君のほかに、718ケイマンのM君、
ケイマンGT4のTさんも待ってくれていた。

彼らの第一声は「どうしたの⁈」だった。

 
 

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