第57話：シャカイチ号、「また」交差点で停まる。

エネオスのお兄さんの推理

「じつはさっき、あそこのパン屋さんの交差点で
　エンジンが止まってしまって……」

「そうなんですか？　なんかへんな音もしてますね」

言われてみれば、右前のタイヤの奥から
ウイーンといった高い音が聞こえている。

「ちょっとエンジン切ってみてください」

「かからなくなるかもしれません……」

「ここスタンドなんで！　大丈夫っす！」

あ、わたしテンパってますね。

エンジンをオフにすると、高い音は消えた。
もう一度エンジンをかけると（弱々しかったが）
やっぱりタイヤの奥からモーターが回転するような音。

「ネンポンだと思います。燃料ポンプ。
　まだ1回も換えてないんじゃないですか？
　消耗品ですしね。ガソリンが減ってくると、
　それを吸いあげるのに一生懸命になります
　だからこんな音がしているんだと思います
　それにしてもたいへんっすねぇ。
（こんなお金のかかりそうなクルマ買って…）
　パーツ代もそうとう高いんじゃないですか？
（こんなお金のかかりそうなクルマ買って…）
　そういや、プリウス入ったんですよ。
　エアロつきの。ほら！　フロントのリップ。
　ポルシェの倍は走るでしょうね。どうすか？」

心配してくれているんだか、どうなんだか…（笑）

シンリュウの箭内（やない）さんに電話するも、
きょうはレースにメカニックとして参戦している日。
なんとかエンジンもかかったし、
うちから数十メートルのところだったので、
この日は自宅駐車場でシャカイチ号を休ませることにした。

パーツ代、いくらするんだろう。怖いなぁ……。

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