クルマ漬けの毎日から
2019.12.17
1960年代、ローバーとBRMは、ガスタービンを動力源とするレーシングカーを共同開発していました。その絵画が、イギリスの自動車博物館に寄贈。そこに登場したのが、ジャッキー・スチュワートです。
【クロプリー編集長コラム】ジャッキー・スチュワートが駆ったガスタービン車
もくじ
ー 伝説のガスタービン車 ローバーBRM
ー 忘れられないレスポンス
伝説のガスタービン車 ローバーBRM
ブリティッシュ・モーター・ミュージアム(英国ゲイドン)で楽しい日曜日を過ごした。
往年の名ドライバー、ジャッキー・スチュワートが、画家のマイケル・ターナーの素晴らしい作品をこの自動車博物館で披露したのだ。
描かれているのは、かつてローバーとF1コンストラクターのBRMが共同開発したガスタービンのレーシングカーだ。スチュワートは、1965年のル・マン24時間レースにこの歴史的マシンで参戦しており、自身が披露したこの作品にドライバーとして描かれている。
この絵画は、デビッド・オーエンの厚意により博物館に寄贈された。デビッドは、ルベリー・オーエン社というサプライヤーの大手で、かつてBRMのグランプリカーの製造も行なっていた会社の社長を務めていた。
デビッド・オーエン、マイケル・ターナー、ジャッキー・スチュワートの3人は、なごやかな雰囲気のなかで30分間、会場からの質問に答え、私はその司会を務めた。
忘れられないレスポンス
ジャッキー・スチュワートは、このレーシングカーのスロットル・レスポンスについて、「このマシンはガスタービン車なので、少し遅れて反応しました。つまり、エンジン音がピークの時よりも、スロットル・オフ直後の方が速いのです」と率直に語った(タイムラグが発生するのは、ガスタービンの特徴)。
さらに、こんな冗談も飛び出した。「グラハム・ヒルと私は、スタート前に協定を結びました。こんなおっかないクルマは途中でコースアウトして、さっさと家へ帰ろうと」
スチュワートとヒルは、1965年のル・マンで10位という結果を残している。
イギリスのテクノロジーを広く世界に伝え、タービン技術の発展に貢献したといえるだろう。タービン技術は今なお重要な役割を担っており、ジェット機、スーパーチャージャー、ターボチャージャーなどに使われている。