社会人1年目、ポルシェを買う。

2020.01.02

【社会人1年目、ポルシェを買う。】第101話:歴代911いっき乗り。

ドライブした5台の911

ずらりと並べられたクルマに新しい順にのった。996→964(RS)→930(スピードスター)→930(ターボ)→911(初代)の順。

996に久しぶりに乗った。わっと、あのころの記憶が蘇るのは、じつに些細なところからだ。窓の開け閉めに聞こえる電動音が、一気にあのころの(ほろ苦い)思い出を呼び起こした。

あらためて996に乗ると、これほど素直なクルマはないと思う。むかしのポルシェのような頑固な癖はないし、いまみたいにギャオギャオと吠えることもしない。

名車だなあと思う。ひいき目なしにして。

でもわかる人にはわかる素朴なものって、思っている以上にモテナイ。こんなにいいクルマなのに……。

次に乗った964(RS)には、目が醒めた。覚醒した。とろとろと走っていたら重いハンドルも、そして必要以上に乗り手をビビらせるペラペラのシートも、頑固一徹のシフトフィールも、いざコースに出ればすべてが鋭くて緻密な武器になる。

なんでも切れる日本刀って、たぶんこんな感覚なのだろう。一度手にすれば、切りまくるよ。不必要に何でも切る。

そういう無敵感を手にすることになる。一歩まちがうと自分の命もあぶないけれど。

もう1台、記憶に残ったクルマがある。

記事に関わった人々

  • 上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。
 
 

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