クルマ漬けの毎日から
2020.02.11
911カレラに試乗したクロプリー編集長。このエントリーグレードに大いに魅力を感じています。以前試乗して忘れられない964も、やはりシンプルな911でした。そこに宿るのは高い質感です。
【クロプリー編集長コラム】エントリーグレードの魅力、ポルシェ911カレラ
もくじ
ー Sの付かない「カレラ」
ー 30年前 964でのドライブ
ー 毎日楽しむ 質感
Sの付かない「カレラ」
短時間ではあったが、ロンドンの西にある私の好きな道路を濡れた状態で走り、素晴らしいひと時を過ごした。
試乗していたのは価格8万3000ポンド(約1187万円)の新型ポルシェ911カレラで、標準に比較的近い仕様だった。
Sではないこのエントリーグレードは、カレラSの標準よりも約1万ポンド(約143万円)安く設定されている。
30年前 964でのドライブ
なぜか私は、偉大なクルマのエントリーグレードが好きだ。
かつてタイプ964の一番安い911に乗って、ウェールズ中部を猛スピードで駆け抜けた時のことは、この先もずっと忘れないだろう。
あの時、お茶を飲もうと立ち寄ったカフェで、私に声をかけてきた人がいた。彼はクルマにとても詳しく、私が試乗していたポルシェのスタビリティには、大きな危険が潜んでいると指摘した。
というのも、そのガーズレッドの964に装着されていたのは、ホエールテール(クジラの尾)と呼ばれる大型スポイラーではなかったからだ。私は映画のヒーローのように危険な走りはしないが、それでもこの時、十分に飛ばして走った。そして、素の964を満喫したのだ。