クルマ漬けの毎日から
2020.09.21
1920年代のグランプリやタルガ・フローリオで勝利を挙げたブガッティ・タイプ35。その75%スケールの「ブガッティ・ベイビー2」が、2019年に誕生しました。ベイビー2はイギリスで生産されています。
【クロプリー編集長コラム】「ブガッティ・ベイビー2」の意外なポテンシャル
もくじ
ー 創業者エットーレのアイディア 再現
ー ベイビー2 大人も乗れる
ー アストン、ベントレー、ジャガー版も計画中
創業者エットーレのアイディア 再現
クラシックカーのビジネス拠点として成長しているビスター・ヘリテージへ行った。
ここは自宅から比較的近いこともあり、私にとっては急速にグッドウッドのような存在になっている。
今回ビスター・ヘリテージを訪ねたのは、新型EVの「ブガッティ・ベイビー2」を取材するためだ。このクルマはブガッティ110周年を記念して、2019年のジュネーブ・モーターショーで発表された。
かつて、偉大な創業者エットーレ・ブガッティは、末息子のローランドのために「タイプ35」のハーフサイズの「ブガッティ・ベイビー」をつくっている。
そのアイディアを再現して、2代目となるこのベイビー2が誕生したのだ。
ベイビー2 大人も乗れる
ベイビー2は親子が裏庭で楽しむブガッティで、初代ベイビーと同様に動力は電気だ。だが、75%スケールなので、大人も走らせることができる。
子供用のおもちゃではなく、タイプ35の質感と伝統が再現されており、大いに注目を集めている。
外観はタイプ35に忠実で、さらにサスペンションもタイプ35と同じジオメトリーが採用されているという。また最上級モデルには、手作業でアルミボディが与えられる。
シロンにも装備されている「スピードキー」の助けを借りれば、最高速を72km/hにまで上げることが可能だ。
価格はベースモデルが3万ユーロ(約371万円)というから、決して安くはない。ブガッティも熱心にこのプロジェクトに取り組んでおり、チーフ・テストドライバーのアンディ・ウォレスが解説とデモンストレーションをしてくれた(写真参照)。
アストン、ベントレー、ジャガー版も計画中
この独創的なプロジェクトの仕掛け人は、かつてイギリス代表のスキー選手で、現在はリトル・カー・カンパニーを経営するベン・ヘドリーだ。
彼の会社では、同様のやり方で14bhpの後輪駆動、航続距離40kmの精緻なスケールモデルを他にも製造しようと計画している。そのなかにはアストン マーティン、ベントレー、ジャガーも含まれている。
ヘドリーによれば、ブガッティ・ベイビー2は限定500台の受注をほぼ終え、ビスター・ヘリテージの新工場で週に6台生産される見込みだ。
さらに将来的には、全ブランドの子供用レースカーが参加するレースイベントを開催したいと、ヘドリーは語った。
この話を聞いて、実に驚いた。子供向けのクルマを取材に来たと思っていたのに、数百万ポンド(数億円)のビジネスの話だったのだから。