クルマ漬けの毎日から
2020.12.10
イギリス政府は、2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を終了すると発表。当初の計画よりも前倒しされたこの新計画を、クロプリー編集長は肯定的に捉えています。しかし、気になることもあります。
【クロプリー編集長コラム】イギリスの電動車新時代、2030年に幕開け
もくじ
ー あと9年で終了 ガソリンとディーゼルの新車
ー 「飴」と「鞭」の政策 果たしてどちら?
あと9年で終了 ガソリンとディーゼルの新車
9年間とは、どれほどの長さだろうか? 普通は、とても長い年月と考える人が多いだろう。
だが、2030年が始まるまでのこれから9年間は、あっという間に過ぎて行くと思う。
というのも、イギリスでは、ガソリン車とディーゼル車の新車販売は2030年までに終了すると発表され、私たちはこれに向かって突き進むことになるからだ。
しかし意外なことに、私は落胆していない。
私たちが何十年もの間、素晴らしいと思ってきたクルマ。その子孫にあたる最新モデルの販売が2030年までに禁止されると考えると、確かにこれは衝撃的な出来事だと思う。
だが、すでに自動車業界が猛スピードで新しい技術や新しいスタイルのクルマを生み出しているのを見ているので、私の中では期待が大きい。
また、充電という課題も、何か革新的な方法で解決されるはずだ。未来のプロダクトは、現在のプロダクトよりも優れているにちがいない。これまでも、いつもそうだったように。
「飴」と「鞭」の政策 果たしてどちら?
ところで、ディーゼル車とガソリン車を廃止することで、イギリス政府は400億ポンド(約5兆4000億円)の税収を失う。
それに代わる手段として、たとえ政府が衛星測位システムを使って、道路利用料金制度を採用したとしても、私はそれを悪いとは思わない。
国の機関や組織に自分の居所を知られたとしても、私自身はあまり気にしないだろう。それに何よりも、現在ガソリン車とディーゼル車に課せられている税金に代わる、新たな税収が必要なのは、確かな事実だ。
しかし、これから9年間の財政政策については、1つ気掛かりなことがある。
政治家は、ガソリンおよびディーゼル車から電動車への移行を、化石燃料車を鞭打つように終焉に向かわせるのか、それとも電動車の魅力を強く後押しするやり方で加速しようとするのか、果たしてどちらだろうか?
「鞭」よりも「飴」の政策を優先してほしいと、期待している。だが、政府が必ずしも期待どおりに事を進めるとは限らない。それが世の常だから。