クルマ漬けの毎日から
2020.12.30
【クロプリー編集長コラム】取材を通して見た「2020年」 前編
コロナ禍で迎えた春
ジュネーブショーが中止になった直後、ベントレーの人たちは、機知に富んだアイディアのもと、イギリス国内をベントレーで走る約1200kmの旅を企画した。
最終目的地はベントレーの本拠地クルーだ。
ショーに展示されるはずだった車両は、この企画のために即刻ジュネーブからクルーに戻されたので、私たち参加者は、ショーのモデルを取材することができた。
長距離ドライブの旅の途中で、イングランド北西部のカーライル空港にも立ち寄った。ベントレーの人たちのおかげで、空港を貸し切り状態にしてもらえたので、私たち取材陣は、時速約240kmでの超高速試乗も経験できた。
3月 バサーストの優勝カップ
この旅の終着点クルーへ行く前に、ベントレーのモータースポーツの本拠地にも立ち寄った。それは、マルコム・ウィルソンが指揮するMスポーツ社で、湖水地方のコッカマス(イングランド北西部)にある。
ベントレーのレーシングカー、GT3はここで生み出された。
この時、GT3はオーストラリアのマウント・パノラマで開催されたバサースト12時間レースで優勝したばかりだったので、私はそのトロフィーを持たせてもらった。
故郷はオーストラリアなので、バサーストにはこれまで何度も訪れている。なんだか懐かしい気持ちになった。
4月 新型フライングスパー
今年ほとんど活動できなかった月があるとしたら、それは4月だ。ロックダウンという状況下で生活していたからだ。
私はこの素晴らしいベントレー・フライングスパーを返却できないまま、コッツウォルズの自宅でお預かりしていた。だが、ただ座ってクルマをながめることしかできなかった。
この写真と一緒にそのことをSNSに投稿したところ、大勢の人から反応をいただいた。皆同じ心境だったようだ。
外出制限が緩和された時、幸いにも、返却前にこのベントレーをそれなりに走らせることができた。
5月 マツダMX-5(ロードスター)
30年間同じ家に住んでいながら、私たち一家は門柱の位置を正確に把握できていなかった。
マツダMX-5を門柱に軽くぶつけ、結果はこの通り(幸運にも、パネルにはダメージなし)。250ポンドの出費となったが、元通りになった。
6月 国立自動車博物館
ハンプシャーのビューリーにあるナショナル・モーター・ミュージアムは、来訪者にガーデンを開放した(感染症対策の規制により、この時期ミュージアムの中に入ることは禁止)。
外のガレージと前庭には、何とも魅力的なクルマが並び展示されていたので、クルマが好きな人たちには、屋外ミュージアムのような理想的なスペースとなった。
外出して目的地へ向かうことが、これほど素晴らしいと感じるとは、実に驚きだった。