クルマ漬けの毎日から
2021.11.26
クロプリー編集長は、VW ID.3のエントリーグレードに試乗しました。その詳細はすでに別にお伝えしていますが、このコラムでは試乗の前後に考えたことなどを追記します。
【クロプリー編集長コラム】シンプル満載! フォルクスワーゲンID.3のベーシックモデル
もくじ
ー 試乗1週間前:小容量バッテリーの長所
ー 試乗中の週末:友人たちのEV初体験
ー 試乗後:シンプルが魅力的 なぜ?
試乗1週間前:小容量バッテリーの長所
来週、フォルクスワーゲンID.3の最新モデルがやって来る。しかも極めてベーシックなID.3なので、とても楽しみにしている。
価格が3万ポンド(約450万円)を切るそのID.3は「ライフ」というモデルで、バッテリーは一番小さい容量の45kWhを搭載している。
ちなみに、イギリスで販売されているID.3の最上位グレード「ツアー」の場合、バッテリーは77kWhが与えられている。今回試乗するエントリーグレードの「ライフ・ピュア・パフォーマンス」は、短距離の移動が多い人向きのEVだ。
ところで、バッテリーの容量が小さいからといって、このID.3はごく短い距離しか運転できないわけではない。いくつかの数字を見てみると、この小容量バッテリーには、軽量(200kgほど軽い)というメリットがあることがわかる。
フォルクスワーゲンによれば、ID.3の上位グレード「ツアー」の77kWhバッテリーでは、航続距離はWLTPモードで340mile(約547km)。
これを基準にすると、45kWhバッテリーを搭載するエントリーグレードの航続距離は、おそらく200mile(約321km)に満たないだろうと予想する人がいるかもしれない。
だが、その航続距離は217mile(約349km)と発表されている。嬉しい驚きだ。
試乗中の週末:友人たちのEV初体験
今週、私のところにフォルクスワーゲンID.3が来ている。
このクルマに乗っていて嬉しいことはたくさんあるが、そのうちの1つが、友人たちにこのEVを試してもらったことだ。
彼らのなかには、牛乳配達車(イギリスでは普通EV)かゴルフカートの他には、まだ純粋なEVに乗ったことがないという人もいた。
友人たちは次の2つのことが、とくに印象に残ったという。
1つは、静粛性が高くて洗練されており、さらに操作がわかりやすいこと。この点にはだれもが大いに感動していた。
もう1つは、プラグインハイブリッドの複雑さよりも、この純粋なEVのほうがずっと好ましいと感じたこと(ちょうど私のところには、プラグインのテスト車も来ていたので比較できた)。
クルマの未来は大きく変わろうとしているが、クルマはこれからも面白く、楽しいものであることに変わりはないと、友人たちは気がついてくれたようだ。
その様子を近くで見ることができたのは、なんとも嬉しい出来事だった。
試乗後:シンプルが魅力的 なぜ?
フォルクスワーゲンID.3のエントリーグレード「ライフ・ピュア・パフォーマンス」について、ロードテスターのリチャード・レーンと話した。
私はこのID.3の試乗を終えて返却したばかりだが、彼と話していて、興味深いことに気がついた。
このクルマの航続距離は、ID.3のなかでもっとも短い(217mile:約349km)。
また、一番安い装備となっている(ファブリックシート、カーペットもステアリングも一番質素なレベル、追加装備はほとんどない)。
それにもかかわらず、このID.3に乗ると、シンプルという喜びを存分に感じることができる。最近では、そういうクルマはなかなか見つからない。
ウェブサイトでコンフィギュレーターを見なくても、このベーシックモデルには、私に必要と思われる装備はすべて揃っていると断言できる。
このことを認識したところで、いつもフォローしている、あるTwitterアカウントのことを思い出した(@thecarfactoids)。
このアカウントではよく「ベーシックモデルの素晴らしさ」が賞賛されている。
ホイールキャップ、クロームなし、ブラックバンパーの昔のクルマは、装飾品がいっぱいの兄弟モデルよりもずっと素晴らしいと、ベーシックモデルをほめているのだ。
なぜ、上級バージョンよりもベーシックほうが魅力的に感じるのか、その理由ははっきりとはわからない。
だが、フォルクスワーゲンのEV、ID.3の「ライフ・ピュア・パフォーマンス」にも、このTwitterで主張されていることが当てはまる。