クルマ漬けの毎日から

2022.03.12

英国の新興EVメーカーのマクマートリーでは、サーキット専用モデル「スピアリング」を開発中です。2021年のグッドウッドで披露されたその高性能EVの現況、さらにマクマートリーの将来ビジョンをお伝えします。

【クロプリー編集長コラム】イギリス新興の高性能EV「マクマートリー・スピアリング」

もくじ

単座の「スピアリング」
サーキットで 超高速テスト

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

単座の「スピアリング」

元F1ドライバーのマックス・チルトンが、高性能なEVの開発を行なっている新興の小さな自動車メーカーのマクマートリーに加わったというニュースが報道された。

マクマートリーは、私の地元でもあるグロスターシャー(イングランド南西部)に拠点を置いている。

このニュースを聞いて、マクマートリーが開発している「スピアリング」は今どのように進行しているのだろうかと、ふと思った。

マクマートリー・スピアリング

前衛的な「スピアリング」はサーキット専用の単座の「ファンカー」であり、昨年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公開された。その後も開発試験が続けられている。

実業家で資産家のサー(Sir)・デイビッド・マクマートリーのアイディアのもとにスタートしたこのプロジェクトは、速さだけでなく、効率性も重視した高性能EVのポテンシャルを、まずはサーキットで証明することに狙いを定めている。

そして最終的にはロードカーも誕生させ、スピードと効率性の両立を成し遂げようとしているのだ。

私はマクマートリーのマネージング・ディレクターのトム・イェーツに電話して、現況を聞いてみることにした。イェーツはこのプロジェクトに4年も関わっている。

サーキットで 超高速テスト

マックス・チルトンが新チーフテストドライバーとして、ちょうど良い時期に開発チームに加わったことをイェーツは歓迎している。

彼は私に、チルトンが「スピアリング」をテストしている映像を見せてくれた。

それは、2Gを超える加速度をかけながら、カースル・クーム・サーキット(イングランド南部)の2つのコーナーを疾走している映像だった。

「スピアリング」に装備されているダウンフォースを発生させるファンは、うまく機能するようになってきたところだという。

近いうちに「スピアリング」が、カースル・クームのラップレコードを塗り替えるのは間違いないだろう。

プロトタイプは全長3200mm、全幅1500mm。最高出力1000bhp、重量1000kg以下、0-300km/h加速9秒以内になる見込み。

少量生産のサーキット専用車を世に送り出す前に、マクマートリーがやるべきことはまだいくつも残されている(見込み客はすでに列をつくっている)。

さらに次の目標として、非常に特別で高額なロードカーを発表するという大仕事が、マクマートリーの人たちを待ちうけている。

そのロードカーは、驚くべきポテンシャルを持つEVになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。

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