クルマ漬けの毎日から
2022.07.28
ロンドン中心部のイベントで、世界最速記録を樹立した3台のブガッティの実物を見ることができました。案内してくれたのは、量産車世界最速記録を成し遂げたドライバーのアンディ・ウォレスです。
【クロプリー編集長コラム】世界最速記録のブガッティと過ごした1時間
もくじ
ー ロンドンに出現 世界最速記録のブガッティ
ー 410km/h前後まで まったく普通
ロンドンに出現 世界最速記録のブガッティ
6月21日、イギリス全土におよぶ鉄道ストライキの影響で道路は渋滞となり、ロンドン中心部へクルマで行くのは困難な状況になった。
だが、結果的に私はとても嬉しい時間を過ごすことができた。
ウェストミンスター寺院から数百メートルのところで開催されたブガッティのイベント会場に何とかたどり着き、アンバサダー兼マスタードライバーのアンディ・ウォレスと1時間ほど話すことができたからだ。
また、世界最速記録を樹立した3台のブガッティ(2台のヴェイロン、1台のシロン)をじっくりと見せてもらうこともできた。
ウォレスと同僚はちょうどこの3台を、その週末に開催される別のイベントで走らせることになっていた。
ウォレスは耐久レースで活躍したドライバーであり、またブガッティの世界最速記録のドライバーでもある。
2019年にウォレスは、フォルクスワーゲングループの伝説的な全長20kmのテストコース、ドイツ北部にあるエーラレッシエンで、ロードタイヤを履いたブガッティ・シロンを運転して、304.773mph(約490.485km/h)という量産車最速記録を樹立した。
410km/h前後まで まったく普通
アンディ・ウォレスは、世界最速のスピードでブガッティを運転する時の物理的特性をよく知る人でもある。300mph(約482km/h)という超高速で走る時、ブガッティ・シロンの構造は2tの揚力とバランスをとりながら、2tのダウンフォースに持ち堪えなければならない。
また、各タイヤも7tの回転力に耐えなければならないが、これはタイヤのリムが引き剥がされるほど強い力である。
シロンは250~260mph(約402~418km/h)までは「まったく普通に走行します」とウォレスはいう。
しかし、この速度域を超えると、巨大な力はタイヤを変形させ、サスペンション・ジオメトリーを維持することが難しくなる。
また、ステアリングからのインプットにも影響があらわれ、セルフセンターもなくなる。よって、ドライバーは極めて慎重に運転しなければならない。
そのような状況ならば、もうだれもこの記録を塗り替えることはできないと思うかもしれない。
だがウォレスによれば、エーラレッシエン・テストコースのメインストレートの終わりで、シロンはまだ加速しつづけていたという。
これを書いていて気がついたのだが、310mphというのはちょうど500km/hに相当する。ウォレスはシロンで、再び新記録を樹立するかもしれない。