クルマ漬けの毎日から

2022.10.08

デトロイト・モーターショーが3年ぶりに開催されました。コロナ禍で2年連続開催が見送られたこのショーは、開催時期が1月から9月へと変更。しかし、帰ってきたデトロイトは大きく様変わりしていました。

モーターショーに必要なもの【クロプリー編集長コラム】

もくじ

新型車発表 減少
モーターショー 必須項目

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

新型車発表 減少

もし少し状況が違っていたら、私は3年ぶりに開催されたデトロイトショーへ行き、取材していたかもしれない。

だが、現地へ行っていたら、たぶんがっかりしていただろう。

実際今回のショーでは、大型で轟音のV8エンジンを搭載した新型フォード・マスタングの他には、胸をわくわくさせるようなニュースはほとんどなかったように思う。

ジープのプレスカンファレンスに登壇したカルロス・タバレスCEO(右から2人目)。

取材陣はみな口をそろえて、今年のデトロイトを「トーンダウンした雰囲気」と、このショーの運営側には嬉しくない見解を報道した。

今回のデトロイトは、自動車会社のCEOが新型モデルを派手に発表して自己満足していた、かつてのようなショーではなかったと、ステランティスCEOのカルロス・タバレスは語っている(彼はデトロイトで、すでに発表済みの2台のEVジープの隣に立っていた)。

販売が開始されている新型車を出展して、プロモーションにつながることが確認できたモーターショーだったと、タバレスは見ている。

モーターショー 必須項目

アメリカのメディアは、最近の他のモーターショーと同じように、規模が小さくなり、参加者が減り、驚きも少なくなったショーだったとコメントしている。

なぜなら、自動車会社が各自で発表イベントを開催したからだ。

7代目となるマスタングが、今回のショーで数少ない「胸をわくわくさせるようなニュース」と筆者。

今年のデトロイトに欠けていたもの、またその結果として復活が必要なものは、かつてのモーターショーに存在していた「単純な喜び」である。

つまり、新型車や新たなテクノロジーに対する期待感、それに時には斬新な何かに驚かされたりすることが必要なのだ。

これらは決して重要性が低いものではなく、実はこういう「単純な喜び」がクルマの世界を楽しく、また意味あるものとして動かしていくのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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