クルマ漬けの毎日から

2022.11.20

2022年に生誕100周年を迎えたオースティン・セブン。長年、セブンがどんなクルマなのか知りたいと思っていたクロプリー編集長は、ついに運転することができました。

オースティン・セブンを初めて運転しました!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

友人のセブン
いよいよ運転 田舎道で

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

友人のセブン

休暇の最終日。ふと思い立って、友人のジョンに電話をし、ある重要なことに協力してほしいと頼んだ。

長年私は、オースティン・セブンはどんなクルマなのだろうかと思ってきた。セブンを運転したことも、助手席に座ったこともなかったからだ。

ジョンは状態のよい1933年製のボックス型サルーンのセブンを持っている。このボックス型のプロポーションは、いつ見ても魅力的だ。

それにジョンのセブンは、少し特別なクルマだ。というのも、そのボディには古い手描きのイラストが描かれているから。

1977年のウィンブルドン選手権で、イギリスのテニス選手のヴァージニア・ウェードが女子シングルスで優勝したことは、今も多くのイギリス人の記憶に残っている。当時彼女の優勝を祝って、ある女子校の生徒たちが、このセブンのボディにイラストを描いたのだという。

イラストを消して、オリジナルの状態にレストアすることも可能であろうが、その特別な履歴を消去する必要などないだろう。

いよいよ運転 田舎道で

オースティン・セブンに乗って、ジョンと私は地元の裏道をドライブした。私の喜びは半マイル毎に大きくなり続けた。

ご想像のように、セブンは荒削りだ。だが、小型でわずか747ccの4気筒エンジンは、予想以上によく回る。またノンシンクロのギヤボックスは、すぐに使いこなせる。

ブレーキの効き具合も十分であるし、サスペンションも田舎道のわだちの振動をうまく吸収する。それに小型なので、1車線の狭い道路でも幹線道路を走っているような気分になった。

実際に運転してみて、なぜセブンのオーナーたちがこの小型車を愛し、長距離ドライブにもよく出かけたのかが理解できた。

さまざまなボディのオースティン・セブン。この小型車が誕生した1922年当時、オースティン社は苦境に陥っていたが、セブンはその救世主となった。17年間生産され、累計生産台数は30万台弱。

こういう小型車は長距離でもよく走る。セブンを最初のクルマとして所有した人たちは、きっと素晴らしいカーライフを経験したにちがいない。

実際イギリスでは、実に多くの人たちが人生初のクルマとして、オースティン・セブンを所有した。

セブンを知ることができ、休暇の最終日は嬉しい1日になった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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