クルマ漬けの毎日から

2023.11.22

自動車イベントからの帰り道、愛車のアルピーヌA110が、なんの前触れもなく突然動かなくなりました。

アルピーヌA110、突然故障しました【クロプリー編集長コラム】

もくじ

日曜日夕方:予期せぬ出来事
通りがかりの人たち
月曜日:キャリアカーで販売店へ
水曜日:まさか廃車!?
木曜日・金曜日:修理完了!

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

日曜日夕方:予期せぬ出来事

思いがけない出来事が起きた。私のアルピーヌA110がグロスターシャ北部のフォス街道で突然故障したのだ。

そこは狭い直線道路なのだが、ハイスピード走行に向いている。また切り通しの道なので、見通しはあまり良くない。

人里離れた交通量の少ない道路でクルマが故障した時ほど、無力感を感じることはない。とはいえ、最近では、クルマの故障はめったになく、前回いつ同じようなことが起きたのか思い出せない。

クロプリー編集長のA110。2021年12月に購入。

AA(イギリスの自動車協会)にアプリ経由で連絡したところ、私の位置情報のリンクが送られてきた。45分もしないうちにライトバンが到着し、A110を道路脇の待避所へ牽引して移動させた。

それから15分もしないうちに、今度は平台型のキャリアカーがやって来た。A110を載せると、15mile(約24km)離れた私の家まで運んでくれた。AAのライトバンの運転手も、キャリアカーの運転手も、5つ星級の素晴らしい対応をしてくれたが、彼らは特別なことではないと言っていた。

通りがかりの人たち

クルマが故障している時に、通りがかりの他のドライバーがどのような反応を示すかを観察するのは興味深い。

多くの人は気が短い。なかには遅れを最短にしようとして、危険を犯す人もいる。また、嬉しいことにクルマを停めて、「牽引しましょうか?」と言ってくれた、ライトバンを運転する(若い)ドライバーが何人かいた。

A110の電動パーキングブレーキ。

だが、私は電動パーキングブレーキを解除する方法がわからなかった。アルピーヌを運転する人も通りがかり、クルマを止め、ウインドウを開けて陽気にこう言った。「燃料ポンプですか?」と。

最近、燃料ポンプが原因で、A110に問題を起こすケースが発生していると聞いていたが、彼もそのことを知っていた。

月曜日:キャリアカーで販売店へ

翌日、アルピーヌのヘルプラインに私のA110が故障したことを連絡した。

ワシムという名の担当者が、とても親切に対応してくれた。彼のような人がAUTOCARで働いてくれたらよいのにと思った。

午前中のうちに、またキャリアカーがやって来た。A110を載せると、我が家から一番近いアルピーヌの正規販売店(ウィンチェスターのマーティンズ)へ向かった。

水曜日:まさか廃車!?

2日後、アルピーヌの正規販売店から電話がかかって来た。その人とは初めて話したが、これまで話した人たちよりも、暗い感じの声だった。

「ご加入の保険会社の見解をお聞きになりたいかもしれませんが」と、彼は堅い口調で話し始めた。まず、A110のシャシーに亀裂が入っていること。

またボディも損傷していると。さらにフロントウィッシュボーンは外れており、ホイールも深刻なダメージを受けていると説明した。それから、なんとも恐ろしい言葉を口にした。「廃車にすべきかと……」

愕然として、私は販売店の人からの電話を切った。

お気に入りのA110。週末にはクラシックカーのイベントに出かけたりする。

そしてすぐに、アルピーヌの輸入元へ電話して相談しようと考えた。というのも、私のクルマは以前アルピーヌの広報車だったから。

ところが、数分後にまた販売店から電話が入った。

「大変申し訳ありませんでした」と慌てた様子で彼は話し始めた。「私共には現在2台のA110が修理に入っておりますが、スピードの出し過ぎで大破したA110は、貴方のクルマではございませんでした」と。あぁ、寿命が縮まった。

木曜日・金曜日:修理完了!

その後もアルピーヌの輸入元および販売店と、何度かやり取りした。

A110の不具合の原因は予想したように、燃料ポンプにあると判明。新品の燃料ポンプは1日以内に入荷し、その後すぐに取り付け作業が行なわれる予定だという連絡を木曜日にもらった。

担当者は「週末には運転できるようになると思います」と言い、実際にそうなった。

金曜日の朝、私は販売店へ行き、修理されたA110を受け取った。家までの運転は最高に楽しかった。

完璧なクルマはどこにも存在しない。だが、AAとアルピーヌの販売店は、私のクルマを修理するためにとても良い仕事をしてくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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