クルマ漬けの毎日から

2024.04.11

グッドウッドで開催された試乗会に参加。ロールス・ロイス初のEV「スペクター」に試乗しました。

ロールス・ロイス・スペクターはお買い得!?【クロプリー編集長コラム】

もくじ

1週間後 まだ余韻
大型車忘れる 感覚

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

1週間後 まだ余韻

グッドウッドの試乗会でクロプリー編集長が試乗したロールス・ロイス・スペクター。

約7600万円のEV、ロールス・ロイス・スペクターにグッドウッドで試乗したのは1週間前のこと。だが、今もまだその時の感覚が残っている。スペクターに試乗できたのは、今年経験したとても素晴らしい出来事の1つだ。

いつも思うことだが、極めて高価なクルマに試乗して、直ちに良識的なことを書くのはなかなか難しい仕事だ。そういうクルマは、何台もの高級車とビジネス用ジェット機を所有するような、異なる世界の人たちに向けてつくられているので、自動車ジャーナリストは口を開く前に、物の見方を変えるべきなのだ。

大型車忘れる 感覚

もっとも印象に残っていることは、スペクターが隅から隅までまったく完璧なこと。塗装は美しく、また製造品質も極めてハイレベルであろうと予想していたが、それに加えて完璧なプロポーションと控えめで美しい2ドアのボディが、全長5.5mというフルサイズのクルマにうまくマッチしている。

高価なEVのなかには、乗り心地の制御に課題があるモデルもあるが、スペクターの乗り心地はじつに素晴らしい。また視認性が高く、ステアリングも正確なので、運転しはじめるとすぐに自分が大型車に乗っていることを忘れてしまう。私はこの点がとても気に入った。

過去を振り返ってみると、それほど堅牢でなく、実用性も低く、まだ成熟していなかったスーパーカーに、富裕層が大金を投じた時代があった。この美しく実用性の高いロールス・ロイス・スペクターは確かに高額ではあるが、当時の感覚からすれば、お買い得と言っていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。

関連テーマ

 
 

おすすめ記事

 

人気記事