クルマ漬けの毎日から

2024.07.19

ルノーは新型「5(サンク) Eテック・エレクトリック」を今年2月のジュネーブ国際モーターショーで発表。この新型EVプロジェクトを熱い思いで推し進め、自らスケッチも描いた人物は、ルノーCEOのルカ・デメオ氏です。

新型ルノー5 Eテック・エレクトリック、CEOの情熱で誕生!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

クルマのスケッチ、CEOも描けるか?
「R5」プロジェクト、その始まり

クルマのスケッチ、CEOも描けるか?

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

自動車業界の経営者たちは、クルマのスケッチを描けるだろうか? ジャガー創始者のウィリアム・ライオンズ卿はまちがいなく、いまではニュークラシックとなっている彼の時代のジャガーのあるべき姿をとらえ、可視化していた。だが、現在の自動車業界のCEOのなかに、芸術的な才能を持つ人がいるとは思ってもみなかった。

少なくとも、ルノーCEOで今年のAUTOCARアワードの受賞者の1人でもあるルカ・デメオが執筆した小冊子を目にするまでは、そのようなCEOはいないと私は思っていた。

『R5, La Belle Histoire(R5、美しい物語)』というタイトルがつけられたその小冊子には(学生時代にオーストラリアで学んだ私のフランス語がちゃんと役に立っていれば)、「ルノーに変革を起こしたプロジェクトの中心人物、ルカ・デメオの3年間の物語」が描かれている。

「R5」プロジェクト、その始まり

この小冊子には、CEO就任後にルカ・デメオが初めてルノーのデザインスタジオを訪れ、実験的につくられた「R5」のモックアップに目を留めた時のことが書かれている。
そのモックアップは量産化される予定もなく、ただそこに置かれていた。その理由は、ルノーが「レトロデザイン」を取り入れたくなかったからだという。

しかし、ルカ・デメオは即座に、R5はルノーとフランスを再びつなげることができると直感し、R5のプロジェクトが始まったのだ。デメオはその後、彼自身の解釈でR5のスケッチも描いた(最上段の画像)。

プロジェクトの開始から数年が経過し、ついに今年のジュネーブ国際モーターショーで、新型「ルノー5 Eテック・エレクトリック」が初公開された。ルノー5のスター的資質が、初めてEVを買うことに躊躇する自動車ユーザーの背中を押すだろうと、ルノーCEOは考えている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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