クルマ漬けの毎日から
2024.10.28
最近、イギリスの3つの自動車会社で新たなトップが相次いで誕生。アストン マーティン、ベントレー、モーガンの順でクロプリー編集長の見解をお伝えします。
アストン マーティン、ベントレー、モーガンに新トップ誕生!【クロプリー編集長コラム】
もくじ
ー アストン ホールマーク新CEO
ー ベントレー ヴァリザー新CEO
ー モーガン マシュー・ホール新社長
アストン ホールマーク新CEO
自動車業界の経営幹部のなかで、成功に向かって険しい山道をハイスピードで登っている人物がいるとしたら、それはアストン マーティン新CEOのエイドリアン・ホールマークにちがいない。
数週間前、ホールマークはアストンのCEOとして初めて公に姿を現し、サプライチェーンの混乱などの結果、アストンの今年の年間生産台数は、計画よりも1000台減産の見込みであると発表した。2018年にロンドン株式市場に上場した時からすでに95%減となっていたアストンの株価は、2024年の業績予想が発表されたこの日、25%急落した。
私はアストン マーティンの投資家ではないが、この会社の前進を見守っていこうと思っている。AUTOCARのロードテスターがお伝えするように、アストンの現在の販売モデルはこの数十年間で最も優れている。また、新たなモデルも登場する。目下アストンの株価は値下がりしているが、今が底値なのは間違いないだろう。
新CEOのホールマークは才気にあふれ、また決断力もあり、問題解決が好きな人でもある。それに、他の多くのCEOよりも製造についてずっとよく理解している。またコミュニケーションの才もある。
ホールマークのこれまでの発言から判断すると、彼はアストンが直面する問題を解決していくための大きな裁量権を持っている。とはいえ、アストンの会長であり、ホールマークの上に立つローレンス・ストロールがどれほど課題に関与していくつもりなのかを、われわれは見定める必要がある。
ベントレー ヴァリザー新CEO
ベントレーの新CEOのフランク・ステフェン・ヴァリザーにインタビューし、それを記事にまとめる仕事はじつに楽しいものであった。ヴァリザーは、7月にベントレーの会長兼CEOに就任。それまで約30年間ポルシェに在籍し、そのうちの5年間はモータースポーツの責任者を務めていた。
そういう彼に「ル・マンへの復帰をベントレーの未来の一部として考えていますか?」と質問したところ、即座に肯定的な答えが返ってきたのは不思議ではない。とはいえ、ロードカーの電動化が最優先される今、モータースポーツに参入する具体的な時期が語られることはなかった。
電動化の未来について、ヴァリザーがぶれない楽観主義者であることに私は感心した。彼は自身について「速いスロットルレスポンスが大好きなのです」と言っていたが、EVはそれを確実に実現できる。
ヴァリザーはこれまでにもシャシーを賢く設計することで、重い車重がもたらす影響を相殺するクルマの開発に取り組んできた(ポルシェ918スパイダーはそのひとつ)。おそらく10年ほど先には、さらに効率性が高まり、また自動車ユーザーのEVへの信頼も高まることで、バッテリーの小型化と軽量化が実現する時代がやって来る。ヴァリザーはそう見込んでいる。
ヴァリザーの話を聞いて、私も勇気づけられた。とくに就任間もない今彼はベントレーに大いに敬服しており、これは素晴らしいことだと思った。ヴァリザー新CEOの進化への意欲と伝統への敬意は、完璧に調和している。私にはそう見えた。