クルマ漬けの毎日から

2024.12.24

取材を通して見た「2024年」前編【クロプリー編集長コラム】

さあ、1月から順に一緒に見ていこう

1月 恒例 ブルックランズの元旦
ブルックランズ(イングランドのサリー州/世界初のサーキット跡地)で開催されたクラシックカーの大イベントに参加し、今年もまた素晴らしい元日を過ごした。天気もまずまず良く、大勢の人たちとクルマが集まったのはじつに壮観だった。これほどさまざまなクルマが集まるのを楽しめる場所はなかなかないだろう。シトロエンのコンバーチブル、1930年代のアメリカ製フォード、極めてレアなMGメトロ・ターボをはじめ、ありとあらゆるクルマが来ていた。

また今年初の、しばしば繰り返される「気づき」も体験した。それは、気心の知れた旧友に偶然出会うのはなんとも楽しいということ。この日、同僚のジャーナリスト、リチャード・ブレムナー(中央)とジョン・シミスター(右)にばったり出会ったのだ。ブルックランズではよく起こること。だから、新年を迎えたら、再びブルックランズへ行こうと思っている。

2月 クラシックのフォード
フォードがいっぱい! ブリティッシュ・モーターミュージアム(イングランド中部のゲイドン)は、魅力的なフォードの展示をさらに増やし、展示ブランドを拡大していこうと、新たな力強い一歩を踏み出した。今後、ブリティッシュ・モーターミュージアムは常に数台のフォードを展示する。

ダベントリー(イングランド中部ノースハンプシャー)には、さらに多くフォードを所蔵するフォード・ヘリテージ・コレクションがあるが、ブリティッシュ・モーターミュージアムはダベントリーと定期的に車両を入れ替える。ブリティッシュ・モーターミュージアムは毎日開館しているし(クリスマスと年末年始は休館)、またダベントリーのフォード・ヘリテージ・コレクションも、だれでも団体(グループ)の1人として訪問することができる。イギリスでフォードのクラシックカーを見られる機会が、これまでよりもずっと増えたのは朗報だ。

3月 最後のジュネーブ・モーターショー
長年にわたって楽しい時を過ごしてきたジュネーブ・モーターショーが、ついに終焉を迎えた。じつに残念だ。2024年の最終イベントに取材に出かけたことはほろ苦い経験となった。2024年のショーはルノーグループが大きな注目を集めたが、以前と同様に楽しいショーであった。

初日には、ルノースタンドのすぐ隣のショップで、このチャーミングな女性から黄色のミニカーを購入。ゆえに私は、ルノーの新型EV「5 Eテック」を手に入れた、イギリス在住の第1号のオーナーなのだ。 フルサイズのルノー5はまだ運転していないが、その日は近づいている。

4月 オークションのTV番組
長期テストしていたEVのアウディSQ8を運転して、じつに楽しい旅をした。その目的地はヨーク近郊のピカリング。ここで、マシューソンズがオークションにかけようとしていた1920年代のレアな1台に、私の古い友人が興味を持っていた。TV好きの人ならば、Bangers & Cashという番組のデレク・マシューソンを知っているだろう(古いクルマを買って来て、必要な作業を施したのちにオークションにかける番組)。

デレクはいつものように、私たちを含めた来場者に会うために会場に来ていた。このビジネスは彼の家族と長年の友人たちの手で、ほぼすべて行なわれている。写真に写っているのはデレク(右)と、デレクの友人でタイヤ販売店を営み成功しているジャック(左)。ピカリングまでは少し距離があるが、もしそうでなければ、ちょくちょく出かけたい場所だ。

5月 アストン マーティン・ブルドッグ
古い友人と再会するという、めったにない予期せぬ機会に恵まれた。再会したのは、ワンオフのアストン マーティン・ブルドッグ。ウェッジシェイプの先駆けで、V8エンジンが搭載されたブルドッグは、ハイパーカーのコンセプト。ブルドッグが大いに注目を集めた44年前、私はこのクルマを初めて運転した。

近年、ブルドッグはリチャード・ガントレットの指揮のもと、全面的にレストアされた。リチャードは、アストンの歴史的英雄であるヴィクター・ガントレット(元会長)の息子。そもそもブルドッグのプロジェクトを始めたのは父のヴィクターだった。現在のオーナーはアメリカ人。昨年ついにブルドッグは、誕生当時に目標としていた最高速200mph(約322km/h)を超えることに成功した。

6月 ロンドンの道路閉鎖
ロンドンのタクシー「ブラックキャブ」のリアシートに座っていて見つけたこの標示。ロンドンの多数の道路が閉鎖という事態は、イギリスの首都の道路が混み合う夏の間、ドライバーにとって重大な問題。

狭い道路、終わらない迂回、どこもかしこも速度制限20mph(約32km/h)というロンドンの3大障害の原因は、クルマを嫌うサディク・カーン市長にあると(少なくともタクシーのドライバーには)考えられている。これまでのところプラス効果はほとんどなく、(おそらく大気を汚染しながら)アイドリングする渋滞の列が長くなっただけのようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
 
 

おすすめ記事

 

人気記事