クルマ漬けの毎日から

2025.02.16

第3世代のミニ・クーパーS(2019年登録)を所有しているクロプリー編集長が、AUTOCARのテスト車の新型(第4世代)ミニ・クーパーSに試乗。その新車のミニは、イギリスの道路でよく起きる災難に見舞われました。

新型ミニ・クーパーSを襲ったイギリスの悪路【クロプリー編集長コラム】

もくじ

進化したミニ・クーパーS
ミニのタイヤ損傷 原因は?

進化したミニ・クーパーS

あるクルマを所有していて、そのクルマの最新モデルを運転できる機会はめったにない。だがこの週末、私はそういう機会に恵まれた。

最近、同僚のフェリックス・ペイジのテストカーとして、ミニ・クーパーS(画像右の5ドア)がAUTOCARに納車された。私はそのミニを借りてコッツウォルズ周辺をテストドライブすることにした。そのルートの一部は、2019年登録の我が家のミニ・クーパー(画像左の3ドア)でも走ったことがある。

新車のミニは、大切なところすべてが進歩していると感じた。我が家のミニよりもロードノイズが抑えられているし、ステアリングはシャープで、また軽くなった。加速性能もアップし、ダンパーも少し改良されている。さらにインパネも進化しており、またシートも(JCWオプションパックのおかげで)ずっと良い。

この週末の間に、私は新車のミニ・クーパーSにどんどん慣れていった。そして目的地に近づく度に、その旅が終わってしまうことを残念に思ったり、すぐに目的地に到着しないように遠回りのルートを探している自分に気がついた。私にとって「まだ目的地に到着したくない」という気持ちになることは、そのクルマが本質的に優れていると示す究極のバロメーターなのだ。

ミニのタイヤ損傷 原因は?

ところが数日後、AUTOCARのミニ・クーパーSにある災難がふりかかった。このミニを運転して家路に向かっていた薄暗い雨の日の午後、水たまりのようなものにドスンと落ちて、大きな衝撃を感じたのだ。実際にはそれは水たまりというよりは、水がいっぱいに溜まった「道路の窪み」だった。タイヤをこの窪みに落とした直後、空気圧モニターはタイヤの深刻なダメージを警告した。

直ちにクルマを停止させて確認したところ、運転席側のフロントタイヤ(ピレリ)がパンクしていて、サイドウォールがひどく損傷していた。だが、スペアタイヤは装備されていない。いちばん近いタイヤショップをGoogleで検索したところ、3kmほど離れたビスター(オックスフォード近郊の街)にグリップ・タイヤというショップがあるのを見つけた。

しかし、そのタイヤ店にはピレリの215/40Z R18の在庫はなかった。それでやむを得ず250ポンド(約4万7500円)のピレリの代わりに、ランビゲーター(Lanvigator)という中国の低価格タイヤを70ポンド(約1万3300円)で購入。見た目も性能も問題はなさそうだった。だがその後、勢いよく発進すると、ホイールスピンすることが多いと気がついた。

翌日か翌々日に、AUTOCARのミニ・クーパーSにはピレリの新しいタイヤが取り付けられた。再びこのミニを運転して帰路についた。だが、かつてないほど慎重に道路の状態に気を配りながら運転していたにもかかわらず、またしても道路の窪みにミニのタイヤを落としてしまったのだ。

今度は前回とは反対側(助手席側)のフロントだ。今回もひどい衝撃を感じ、また同じことが起きたのかと嫌な気持ちになった。タイヤの損傷を知らせる警告灯が表示されるだろうかと、ドキドキしながらしばし様子をうかがった。しかし今回は幸運にも、タイヤはダメージを受けていなかった。とはいえ、この経験ではっきりわかったことがある。イギリスの道路の大きな窪みは、ドライバーの財布に慢性的に打撃を与える深刻な問題だということを。

道路の窪みは運転を難しくする。私たちは運転中に、いまやあちこちに設置されているカメラや、スピード制限の表示を探したりしている。さらにイギリスのドライバーは、タイヤを傷めないように窪みも探しながら運転しなければならないのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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