まだまだ頑張る現役総編集長の奮闘録

2025.03.11

AUTOCAR JAPANの笹本健次総編集長のポルシェ・タイカン購入レポート。この3月で3年目を迎えます……、となるとやって来るのは初めての車検。このタイミングで乗り換えるのでは? という周りの予想に反して、車検を取ったそうです。

【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(22) 3年目の車検を取りました。

もくじ

タイカン購入から3年

ポルシェとしての安心感は今一歩か

3年4.8万kmのトータル電費は?

EV失速の中、今しばらくの様子見

タイカン購入から3年

散々迷った末、タイカンの車検を取ることにした。タイカンを新車で購入したのは、3年前の2022年の3月であったが、その当時は、アウディ、ポルシェ、メルセデス・ベンツといった欧州のメーカーから続々とBEVが発売され、国内では充電設備の大幅な増設計画も発表されていた。テスラはマーケット・シェアを伸ばしつつあったが、中国製のBEVはまだ胎動中というところだったと思う。

それから現在までの3年間の、世界の驚くべき変化は当時知る由もなかったが、今、当時の個人的な事情を思い出してみると、そのころ車検のタイミングとなったレンジローバー・イヴォークをどうしようかと迷っていたのである。

実はEVを選択するという案は当初ほぼなかったのだが、タイミングよくポルシェの8kWhの普通充電器を甲府の旅館に導入したことや、試乗したタイカン・ターボやアウディeトロンGTが好印象であったことなどから、タイカンの購入に一気に気持ちが傾いた。

この際しっかりと走り込んで、EVポルシェの真価を見てみようと言う職業的な使命と、趣味的には家のガレージに鎮座する最初期の356Aカブリオレと新旧並べて楽しむのも良いか、などと呑気に考えていた。

しかし、いざ懇意にしているディーラーのセールスに聞くと、ウクライナ戦争が始まって、供給網が大混乱をきたしており、特にポルシェのEV用のワイヤハーネスはウクライナで製造しているため、全く生産ができない状況であった。

ところが、ラッキーにも見込みで発注していた2022年モデルの素のタイカン、すなわち後輪駆動のベーシック・モデルが船の上にあることがわかり、そのボディカラーもアイスグレイという私の好みの色味であったことから購入を決め、納車されたのが2022年の3月11日だったのである。

決断から納入までは一気呵成で、僅か20日間ぐらいであったと記憶している。

ポルシェとしての安心感は今一歩か

3年目の車検で入庫したポルシェセンター世田谷にて。

それから3年が経ち、車検に出したときの走行距離は4万7887kmである。この間の出来事については、このレポートで順次しっかりと報告してきたつもりだが、これまで私が乗ってきたポルシェ各車のような盤石な安心感はないものの、大きなトラブルに遭遇したのは1回だけで、予想よりも快適な3年間であったと思う。

尤も、聞くところによると私のクルマはアタリで、次々とトラブルに見舞われている人も少なくないそうだ。EVはまだ発展途上で、走れば走るほど様々な問題が発生してくるのはある意味やむを得ないともいえる。

更にはサービスキャンペーンやリコールも次々と出されるので、実のところ、ディーラーでも全てのオーナーの方に万全の対応ができているとは言えないかもしれない。

その卑近な例が最近のリコールで、「高電圧バッテリーの内部モジュール不具合のお知らせ」なるものが昨年の12月にオーナー宛てに送られたという事だが私の手元には届いていないし、車検の際にいきなり話され、対策が間に合わないのでしばらくは充電を80%に制限してくださいと告げられた。

しかしこの80%は、私のような使い方をしているユーザーには致命傷に近いぐらいのインパクトで、驚くよりは呆れてしまった。

現在のタイカンの冬場の満充電時の走行距離は300km程度で、川崎から甲府への登りは150km分ぐらい電力を消費する。しかも、都内で仕事を2件ほど終えたら、もう残りは50kmを切り、ギリギリで甲府にたどり着くという状態だ。

80%という事はたった240kmしか走れないことになるから、行動予定そのものを変えなくてはならない。この事実が12月に判っていたら、車検の継続の判断について重大なファクターとなっていたのにと思う。

しかも、充電を80%で止めるというのは、見守っていない限り事実上不可能で、実にナンセンスな要求であり、ユーザーを馬鹿にしているとしか思えない。ポルシェともあろうものが、どうしてしまったのかと残念でならない。

一刻も早く、リコール作業をやってほしいものだが、現状では、本社から何の連絡もディーラーに入っていないそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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