エンツォ・フェラーリとルチアーノ・パヴァロッティ展
2015.02.19〜2016.02
◆モデナにあるエンツォ・フェラーリの生家があった歴史的なエリアに建造され、2012年3月10日にオープンしたのがムゼオ・エンツォ・フェラーリ(MEF)である。マラネッロのガッレリア・フェラーリがフェラーリの車両を中心としているのに対し、MEFはその名のとおりエンツォ・フェラーリと、モデナにまつわるクルマ達を紹介してきた。
そのMEFでは2月から「エンツォ・フェラーリとルチアーノ・パヴァロッティ展」を開催している。モデナを代表する世界的な偉人であるエンツォ・フェラーリとルチアーノ・パヴァロッティを称える特別展で、両名の活躍を多角的に紹介するもの。
モデナ出身でモデナを愛したオペラ界の巨匠であるルチアーノ・パヴァロッティは、1935 年にこの世に生を受ける。ちなみにエンツォ・フェラーリが37歳の時だった。共にプロフェッショナルな考えを持っていたため、年齢の差にもかかわらず2人は親交を深め、互いに尊敬しあっていた。幼少時代にオペラ歌手になることを夢見たこともあったエンツォは当時、この新進気鋭のオペラ歌手をマラネッロでもてなした。
クルマ好きだったパヴァロッティは、中古のマセラティ・セブリングを購入するが、本心はフェラーリを手にすることを望んでいた。その後、世界的なテノール歌手の座を獲得したパヴァロッティは念願かないF40を手に入れた。今回の特別展ではパヴァロッティが所有していたマセラティ・セブリングが展示されると共に、同型のF40も展示している。
一方のエンツォの足跡は、アルファ・ロメオのグランプリカーから166インテル・トゥーリングを皮切りに、ラ・フェラーリまでの時代を代表するモデルが展示され、スタディモデルのフィオラバンティF100も並べられている。
来館者は19基のプロジェクターを駆使した「Enzo e Luciano:da Modena a Modena 」の動画と、パヴァロッティのテノールの中でも選りすぐりの美しい歌声に包まれ、極上のひとときを過ごすことができる。両名の出身地がモデナ、世界の檜舞台での成功、ファンや支援者、また国際的な評価といった、2人の類似性に焦点をあてた映像は必見だ。
このほかヴェローナのフォンダツィオーネ・アレーナと、アレーナ・ムゼオ・オペラの協力により、来場者はパヴァロッティのオペラ・キャリアの中で実際に使用された、いくつかのセットを見ることができる。このエキシビションは、2016年2月まで公開される。
また当時エンツォの父であるアルフレッド・フェラーリの事務所があったエリアは、フェラーリ・エンジン・ミュージアムとされている。ここでは、試作されたエンジンを始め、2気筒から6気筒までのユニット、フェラーリの伝統的な12気筒エンジンと8気筒エンジン、ターボ・ユニット、そしてフォーミュラ1エンジンを6つのセクションに分けて展示し、3D映像によりそれぞれのエンジンの特徴やメカニズムを分かり易く解説している。
また、エンジンの他にもフェラーリが1952年と1953年に世界スポーツカー選手権の世界タイトルを獲得した750 モンツァ、ジル・ヴィルヌーヴがステアリングを握った1.5リッター・ターボF1マシンから、フェラーリF1として初めてKERSを搭載したF60など、様々なタイプのエンジンを搭載した車輌を展示する。
また4月4日より2カ所のムゼオ・フェラーリとパヴァロッティ・ハウス、その他モデナの名所を結ぶシャトルバスを2日間利用できる「パスポート」が60ユーロで販売される。このシャトルバスは、モデナとマラネッロのフェラーリ・ミュージアムを結ぶ他に、パルミジャーノ・レッジャーノの製造工場やランブルスコを手掛けるワイン・セラー、バルサミコの生産者、サルメリア(デリカテッセン)ミュージアム、さらには、ノナントラ修道院跡、サッスオーロの陶磁器メーカーおよびミュージアムなどを巡ることができる。モデナやマラネッロなどがあるエミリオ・ロマーニャ州の、食と文化に触れられる旅を手軽に堪能できるミニツアーとしてお勧めだ。
これからモデナを訪れる機会があれば、ぜひEFMに足を運んでみてはいかがだろうか。