フェラーリ — ジェーニオ・エ・セガレッティ

2015.05〜2015.12

text & photo:Keith Bluemel

 
2014年のカリフォルニア・ドリーミング展の成功を受けて、マラネロのムゼオ・フェラーリは新たな企画展 “ジェーニオ・エ・セガレッティ(輝かしき才能と秘められた真実)” を本年末まで開催している。

秘蔵モデルの展示だけでなく、スタイリング検証や実験段階の車両が並び、フェラーリの核心部にこれまで関わった、または現在も関わっている人々の真の声に触れることができる。館内にはパネル展示や音声および動画でそれぞれの人物が紹介されており、テーマ毎に下記のブースが設けられている。

*エンツォを衝き動かしたもの/ピエロ・フェラーリ
*叶うことなき恋心/ジョルジェット・ジウジアーロ
*ルールとは破るためのもの/ジェームズ・アリソン
*天賦の才能/ジョン・バーナード
*フォーミュラ・マジック/ロリー・バーン
*真実はただひとつ/フラヴィオ・ マンツォーニ

この企画展のために持ち出されたのが、1999年にイタルデザインが造り上げた360モデナの1:1スケール・プローポーザル。車体の両サイドには左右で異なるエアインテークとドアハンドルが配されている。すぐそばには、イタルデザインの設立者であるジウジアーロが自らのカーデザイン50周年記念のために612スカリエッティをベースに造ったGG50が並ぶ。

また、ジウジアーロ初期のデザインワークとしてベルトーネ在籍時に設計され、彼の才能の片鱗を垣間見れるイノチェンティF128/186GT 2+2が披露された。このモデルはフェラーリのV12エンジンを分割したV6を搭載し、僅か2台が製造されたうちの2台目で、F2というシャシー・ナンバーが打刻されている。

また、スペシャル・プロジェクト(SP)モデルからは、エリック・クラプトン所有の458イタリアをベースにしたワンオフモデルであるSP12と、同じく458をベースにして6台だけ製造されたセルジオのプロトタイプが出展された。このほかにも北米専用にフェラーリ60周年を記念して10台が造られたF60アメリカ、米国人クライアント向けにF12ベースで造られたワンオフモデルのSPアメリカ、同様にF12ベースで2台が同じオーナーのために製作されたF12 TRSがブースを飾った。

ラ フェラーリのスタイリング・モデルを扱うコーナーでは、傍らにクレイモデルが陳列され、慎重に偽装された試験車両のF150ラボラトリオとサーキット専用モデルのFXX Kが、4輪駆動のプロトタイプとして1988年に造られた408 4RMと共に並んでいた。

これ以外にも250GT TdF、250GT SWB、250GTO、250LMといった250シリーズのコンペティション・モデルが揃えられ、階下にはピニンファリーナ・シグマ・グランプリ(1969年)、レオナルド・フィオラヴァンティによるシングルシーターのセイフティ・プロポーザルであるLF1(2009年)が展示された。

また、エンツォとF1の理事会が仲たがいした時期にプロジェクトが進められたフェラーリのCART/インディ用マシン(1987)もお目見え。このマシンは最終的にアルファ・ロメオのCART/インディ用マシンのベースとなったものだ。さらには312B3 スパッツァネーヴェ(除雪車という愛称)など、ホール・オブ・フェイムの常設展示以外のF1マシンも数多く展示されている。

もちろんムゼオ・フェラーリに行けばいつでも目にするシミュレーターや、カフェ、ブティック、それにたくさんのライセンス商品も観客を楽しませてくれる。

  • 1999年にイタルデザインが造り上げた360モデナの1:1スケール・デザイン検討用モックアップ。本邦初公開。

  • イタルデザインの360モデナの1:1スケール・デザイン検討用モックアップは左右で細部のデザインが異なる。

  • 365GTB/4デイトナのデザイン検討用に製作されたプロトタイプも並ぶ。現在はコレクターが所有する。

  • ジウジアーロがベルトーネ在籍時に設計したイノチェンティF128/186GT 2+2が披露された。

  • イノチェンティF128/186GT 2+2はフェラーリV12エンジンを分割したV6を搭載し、2台のみが製造された。

  • アルミ・スペースフレーム、4輪駆動の試作車として1988年に製作された408 4RMも展示されている。

  • ラ フェラーリ開発時の試験車両であるF150ラボラトリオは、カムフラージュされた姿で披露された。

  • ラ フェラーリのデザイン確認用のモックアップも、今回の企画で日の目を見ることになった。

  • こちらはFXX Kの原寸大のモックアップ。最終的なグラフィックの検討用かマーキングが施されている。

  • F12ベースで2台が同じオーナーのために製造されたF12 TRSが企画展に持ち込まれた。

  • 458をベースに僅か6台だけが製造されたセルジオ。さらに貴重な存在のプロトタイプが出展された。

  • アメリカのクライアント向けにF12をベースにして製作されたワンオフモデルのSPアメリカも登場した。

  • フェラーリが北米での販売60周年を記念して、アメリカ向けに10台のみ造られたF60アメリカも展示。

  • F1マシンの安全性を提起して1969年に発表されたピニンファリーナ・シグマ・グランプリが姿を見せた。

  • レオナルド・フィオラヴァンティによるシングルシーターのセーフティ試作車であるLF1(2009)が展示された。

  • ハイブリッド・システムを備えるラフェラーリ用のF150FEユニットがギアボックスと補機類が付いた状態で展示。

  • エンツォ・フェラーリ用のF140FC型エンジンと共に、488GTB用のF154CBユニットが早くも展示された。

  • ジョン・パーナードの傑作として知られるF189(640)も企画展にちなんでムゼオに持ち込まれた。

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