ジャパン・クラシック・ツアー 2015
2015.09,21〜23
数あるヒストリックカー・ラリーの中で、競技性の高さに加え参加者を楽しませてくれる、もてなしの心を備えるイベントがヒストリックカー・ミーティングだ。その充実ぶりから回を追うごとに人気を集め、地元の東海地方はもとより、首都圏や関西を始め全国各地から参加を集める全国規模イベントに成長した。
これまでの11回にわたるヒストリックカー・ミーティング開催経験を基に、ワンクラス上の存在としてスタートしたのが「ジャパン・クラシック・ツアー 2015」なのである。
日程を3日間に延長して更に旅の要素を盛り込むと共に、走行距離を伸ばし競技性も高めたもの。それだけではなくラグジャリーでハイセンスな構成とされたのが特徴である。
初開催となる今回は、長野県松本市を起点に安曇野、飛騨高山、白川郷、白山スーパー林道、金沢、砺波、富山を巡るルートが組まれ、3日間で400km余りを駆け抜けるもの。
1日目は松本市にある旧松本高等学校跡地にある「あがたの森公園」がスタート地点。2014年に行われたヒストリックカー・ミーティング松本ステージで使われた場所で、並木の木漏れ日が、プロムナードに並べられた参加車を輝かせ、いつになく美しく見せてくれる。
午前10時ちょうどにゼッケン01のジャガーXK120がスタートを切り、このあと30秒間隔で400km先のゴールを目指して走り出す。まずは山形村役場に設けられた3連続PCに挑み、こなしたあとは、山形村の名物である唐沢そば集落に向かい、石碾蕎麦の本格的なランチを楽しんだ。
名物を堪能したあとは1日目のハイライトであるヒルクライムのスペシャル・ステージだ。道路封鎖された約5kmのルートを10分ジャストで走るもので、平均速度は約30km/hの設定。沿道には多数のギャラリーが詰めかけ、普段見ることのできないクルマ達が走る姿をじっくりと楽しんでいた。
トライを終えたあとは、全車揃って次のPCが設けられた安曇野市役所まで移動。1日目最後のPCは安曇野ワイナリーに設けられ、競技終了後に参加者へワインがプレゼントされた。このあとはリエゾン・ランとなり安房トンネルを抜け、奥飛騨温泉ガーデンホテル焼岳がゴールとされた。
2日目は高山市にある祭りの森で3連続PCにトライしたのち、中部縦貫道で白川郷に向かい、合掌造りの白水園で飛騨牛石焼和膳のランチに舌鼓を打った。食後は白山郷白川郷ホワイトロード(旧白山スーパー林道)の雄大な景観を存分に楽しみつつ石川県へ。道の駅瀬女でPCに挑んだあとは金沢の兼六園を通り、金沢城址隣接のしいのき迎賓館では、詰めかけたギャラリーに参加車を披露した。
休憩後は北陸自動車道で砺波まで移動し、チューリップ四季彩館駐車場で最後の3連続PCをこなして終了。ゴールは砺波ロイヤル・ホテルだ。ヒストリックカー・ミーティングの楽しみのひとつであるディナー・パーティは、ジャパン・クラシック・ツアーではよりパワーアップ。プリンセス・チューリップの出迎えに始まり、ウェルカム・ドリンクには地元の名品である立山ワインが用意された。
リバー・サウンド・ジャズ・オーケストラの生演奏と共にパーティはスタート。主催者の天野氏の挨拶に続き、砺波市観光協会常務理事の大浦さんとプリンセス・チューリップの竹村和奈さんが砺波市とチューリップの魅力を披露。続いてゼッケン01の吉田氏の乾杯の音頭で宴の席が始まった。
常にアトラクションに趣向を凝らす天野氏だけに、ここでは郷土芸能の「おわら風の盆」が実演され、さらにはベリーダンス・ショーで盛り上がった。続いて人間線踏みゲームの「フットギア・コンテスト」が行われ、中村組が驚異の0.114秒差で優勝し特製ケーキが贈られた。最後にスタンダード・ナンバーの生演奏で盛り上がったところで中締めとなった。
最終日となる23日はPCを行わず、ツアー要素を主としたプログラムが組まれていた。これは参加者のほとんどが遠方からの参加のため、各地へ戻る時間を配慮して午後2時と早められていた。このことからも、主催者の細やかな心遣いが見えてこよう。
ホテルをスタート後海王丸パークまで移動し、参加車を海沿いの広場に展示しレスコンとされた。会場には連休中だけに多数のギャラリーが詰めかけ、新旧の名車達を興味深そうに眺めていた。続いて富山の新名所となった新湊大橋を渡り、ツアーのフィニッシュとなる「やまふじぶどう園」に到着。ぶどう棚の下でバーベキューを楽しみ、ヒストリックカー・ミーティングでおなじみのアースによる天使の歌声に魅了されてから、表彰式が行われた。
手ぶらでは帰さない、というヒストリックカー・ミーティングの伝統はこのツアーでも健在だ。女性参加者全員にプレゼントが贈られたほか、数多くの特別賞や敢闘賞も用意され、さらには全員に同園特選のぶどうがプレゼントされた。最後に参加者全員で記念撮影を行い解散となった。しかし、ここでサプライズが用意されていた。それは天野氏も所属するヘリコプター愛好家クラブのご好意による体験飛行で、ぶどう園から富山市上空をフライトし、搭乗した参加者は大喜びだった。
もてなしの心で参加者を楽しませるヒストリックカー・ミーティングの伝統は見事に受け継がれ、より進化していた。これからヒストリックカー・ラリー参加を目指す方には、是非参加していただきたい好イベントである。競技性の高さだけではなく、同士と楽しむ旅も同時に楽しめる奥の深さを持つからだ。
あと冬の恒例イベントとして親しまれているヒストリックカー・ミーティング伊勢・志摩だが、今年は伊勢志摩サミットを盛り上げるため開催せず、来年3月12-13日に行うとのこと。詳細は後日ホームページで発表される予定。お楽しみに。