ルノー・スポールの歴史を締めくくる至高の1台 メガーヌR.S.ウルティムこそが「究極」の万能選手だ
公開 : 2024.01.26 17:05
ワインディングも爽快に駆け抜けるフットワーク
「なんだ、このフロントタイヤのキャパシティは!!」ワインディングロードでいちばん最初に驚いたのは、このことだった。
なにしろ、上り坂だというのに、コーナーでステアリングを切りながらスロットルペダルを踏み込めば、グイグイとノーズの向きが変わっていくうえに加速もしていける。
念のため申し上げておくと、メガーヌR.S.ウルティムは前輪駆動である。前輪駆動でステアリングを切ったままスロットルペダルを踏めば、フロントタイヤのグリップが不足してアンダーステアが出たりタイヤが空転したりすることは、フリクションサークルを勉強したことのある人ならご存知のとおり。
というのも、タイヤのグリップ力は縦グリップと横グリップの合計(厳密にいうと「ベクトルの和」)で決まるので、コーナリング中に加速を行えば、横グリップか縦グリップのどちらかもしくは両方の能力が低下し、アンダーステア(つまり、横グリップの不足)もしくはタイヤの空転(同じく、縦グリップの不足)が発生してしまうのである。
ところが、メガーヌR.S.ウルティムは前述のとおりステアリングを切ったままスロットルペダルを踏み込んでも、グイグイ曲がりながらグイグイと加速する。
だから、コーナリング中は加減速を控えないといけない一般的な前輪駆動モデルと違って我慢する必要がなく、爽快にコーナーを駆け抜けていける。これには、トルセンLSDの効果も役立っているはずだが、いずれにせよ、フロントタイヤがこれほどグリップする前輪駆動モデルは初めてだ。