マセラティ グレカーレ モデナ 実現するのは「日常にマセラティを添える」非日常体験だ

公開 : 2024.04.01 11:05

もっとも「日常の一部」にしたいマセラティ発見

4気筒ターボの第一声は力強く、ボディに微かな振動を伝えてくるが、その立ち振る舞いは極めて静かだ。トップモデルのトロフェオはパワーもさることながら、エアサスによる懐の深い乗り心地を特徴としていた。

それに対しコイルスプリングと可変ダンパーによる簡潔な足回りを備えている今回のモデナは、ドライビングモード(コンフォート、GT、スポーツ)ごとの変化がわかりやすい。特にGTモードで高速道路を飛ばした際のフラット感の高さは特筆すべきだろう。

パワートレインに関しても、ダッシュ力に優れる4気筒ターボの尖ったキャラクターを48Vの“実効性のある!”マイルドハイブリッドがうまくサポートしている印象。

このため4気筒イコールもの足りない、もしくは粗っぽいといったマセラティらしからぬフィーリングにはオチていないのである。内燃機とモーターが巧妙に絡み合う、必要にして充分なパワーユニットといえるだろう。

クルマ全体から漂う気品や静けさ、加速の素早さ、ダイレクト感あふれるステアリングフィールといった動的質感はマセラティそのもの。だがそこに、ちょうどいい車高による乗り降りのしやすさと広い荷室に代表される実用性の高さ、そしてカジュアルな雰囲気がプラスされている。マセラティのラインナップ中で最も普段使いしたくなる1台、そんな表現が当てはまると感じたのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

マセラティ グレカーレの魅力

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