緩急自在のハイブリッド・オープンエア アルトゥーラ スパイダーを今井優杏が試す

公開 : 2024.07.12 17:00

優れた使い勝手を支える技術力

50km/h以下であれば走行中も操作できるというルーフの開閉速度はわずか11秒。

イメージこそ、おっとりと穏やかな海岸線ドライブが気分のフレンチ・リビエラ地方だが、そのじつ、このあたりは数々のカーチェイスシーンの撮影やクルマのCMにも使われるほど、タフでハードなワインディングが続く。路面もバンピーで車線も狭い。

しかし、南仏の弾けるような陽光を肌に受けつつ走るその室内には、ルーフを全開にしたとてなんと、一切の風の巻き込みがないのだ。

実はクローズでの高速道路走行では、ものの80km/hにして路面への吸い付きを実感した。しかしそれどころか、さらにルーフを開けても、確かにそのエアロダイナミクス感は薄れない。

さらにルーフからはワインディング走行で汗ばんだ前髪を揺らす風ひとつ入ってこないのだから驚愕だ。正直、色々ドライブしてきた中で、これほどに空力の凄味を感じるオープンモデルは他になかった。

その秘密は、フロントウィンドウ上端にある、わずかに膨らんだエッジ部分だという。他のメーカーであればここに電動可変式のルーバーを仕込んだりもしているが、マクラーレンは軽量化への執念のためにそれを嫌った。

そして、ウインドウの上端という、剛性的に難しい部分にこの膨らみを採用することを決めたという。これも、ボディの成形技術に高い信頼性を持つ同社だから出来たことだと、エンジニアは胸を張る。

これほどの巻き込みのなさなら、ぜひ女性オーナーにも自らハンドルを握ってほしいと思った。

スポーツカーと思えないほどの視界の良さ。クイック、かつドライバーの意思をそのままトレースするかのようなハンドリング。そしてスポーツカーに対して装う気持ちを削がないオープンルーフ。

英国流のエレガンスが薫るスーパーハイエンドモデルを体感してほしい。

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記事に関わった人々

  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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