まるで洗練されたアウトドアギア ジープ初のBEV、アべンジャーに試乗

公開 : 2024.10.04 13:00

巧みに作り込まれたフロア、広い室内空間

フロントのドアを開けインテリアをひと通りチェックしてみて驚かされたのはフロア面の低さだった。床下にバッテリーを敷くことが多いBEVは底上げされたようなフロアが当たり前という認識がある。

ところがアベンジャーの場合、54kWhという容量を持つリチウムイオンバッテリーを運転席の下とリアシート下に分けて設置することで足元スペースが確保されていたのだ。という事実は後で透視図を見てわかったのだが、ともあれボディの大きさに対して目いっぱいの室内空間が確保されていることが理解できたのである。

3人掛けのリアシートは見た目こそ平たい感じだが、背もたれの角度はごく普通に寝ており座り心地は悪くない。身長184センチの筆者が座って“ちょうど”という感じなので、スペースも必要にして充分と言える。

一方ハンズフリーのパワーリフトゲートを備えたリアの荷室は、フロア面がほどよい高さ(726mm)に設定されており、奥行きも手を伸ばせばリアのシートバックに届く感じで使い勝手が良さそう。開口部も左右が垂直に立ち上がっており、ジープらしく実用性を重視してデザインされていることがわかる。

アベンジャーは昨年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーのみならず、ウィメンズ・ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの“ベストファミリーSUV”を獲得している。ミニマムなファミリーカーとして考え抜かれた設計に対し、女性からの高い評価が集まったことは当然の結果なのだと実感した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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