富士の麓で本領発揮! アベンジャーの走破性は期待以上

公開 : 2024.11.01 12:30

急速充電1回で広がる行動範囲

一方5%より急な斜面で使用できるHDCに関しては、4輪にトラクションが伝わるAWDではなくFFだからこそ重要性が高いと感じた。泥と濡れた草の斜面でもしっかりと路面を掴み、安定して下ることができたのである。

航続距離はメーターパネルの右下に表示されている通りだった。アベンジャーの一充電航続距離(WLTC /国土交通省審査値)は486km。エアコン等を作動させた実際の走行となるとこの距離が2割ほど減るのは全てのBEVに共通している。バッテリー残量87%、残りの走行可能距離346km(100%換算だと389km)という今回の走りはじめのデータもこれを裏付けていた。

ICEでは高いギアで高速道路を流して走ると航続距離が増えていくものだが、BEVではそういったこともない。BEVの航続距離は掛け値なし、だから目的地までの走行可能距離が分かりやすいともいえるのである。

また今回の行程では途中充電をしなくて済んだのだが、例えば高速道路のSAにある出力50kWの急速充電スポットで1回(30分)充電すると25kW(バッテリ―容量の46%)を充電できるというデータもある。つまりトイレ休憩+αの時間で実質的な航続距離を180kmほど伸ばすことができるのである。

ジープ随一のコンパクトボディと、ブランドの名に相応しい走破性、そして“使いこなせる”航続距離。一歩踏み込んで試したアベンジャーは、期待以上のポテンシャルを披露してくれたのである。

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記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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