【日本屈指の理論派ドライバー、山野哲也が解析】ルノー・メガーヌR.S.は「美しき」ホットハッチ!

公開 : 2024.11.28 12:00

シフティングはメガーヌR.S.に任せた方が速い

「スポーツモード以上だと、エンジンもかなり重低音をきかせた音になって、レーシングカーと見紛うようなタイミングでアップシフティングをしつつ、カーブに差しかかると無駄なアップシフティングもしなくなるんです。これはシフティング制御が単純な速度からの計算ではなく、このアクセルの踏み方であれば、もうすぐブレーキングだな……とクルマが判断しているんですね。

ボディカラーは『ジョン・シリウスM』と呼ばれる特別塗装色。R.S.らしい黄色が映える。

私もジムカーナやレースで1/100秒を争う時にはマニュアル変速をしますが、そうでない普通のドライバーの方であれば、シフティングは間違いなく、メガーヌR.S.に任せた方が速く走れると思います。

とにかくエンジン音にしてもシフトにしても、メガーヌR.S.は表面的な形や机上の理屈だけで終わるのでなく、徹底的に実走してチューニングされたことが伝わってきます」

室内はカーボン調素材、レッド&グレーのステッチを配した、いかにもスポーティな雰囲気。

このように、メガーヌR.S.ウルティムのパワートレインを絶賛した山野選手の話題は、R.S.の真骨頂ともいうべきシャシーに移っていく。

「メガーヌR.S.といえば、四輪操舵の『4コントロール』ですね。世の中の大半のクルマはフロントで操舵するので、旋回軸は必然的に固定されたリア寄りとなります。

『4コントロール』のモード切り替え画面。低速、高速でステアする方向を変えている。

ただ、クルマは速く走らせたい時には、旋回軸はクルマの中心近くにあった方がいい動きをします。もう少し細かくいうと、低速ではフロント寄りの旋回軸の方が曲がりやすくなります。その典型は、ジムカーナなどで見られるサイドブレーキを使ったスピンターン。あれは後輪を滑らせることで、旋回軸をフロント寄りにするテクニックです。そして高速では逆に、リア寄りの旋回軸の方が安定します」

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐野弘宗

    Hiromune Sano

    1968年生まれ。大学卒業後、ネコ・パブリッシング入社。カー・マガジン等で編集作業に携わるうちに3年遅れで入社してきた後藤比東至と運命的な出逢いを果たす。97年、2人でモンキープロダクションを設立するべく独立。現在はモータージャーナリストとして「週刊プレイボーイ」「AUTOCAR JAPAN」「○○のすべてシリーズ」他、多数の雑誌、ウェブ等で活躍中。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員

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