【マクラーレンGTSで疾走!】今井優杏の九州・長崎トリップ
公開 : 2025.01.10 17:20
流れ去る雨滴たちに空力性能を実感
今回の相棒となるGTSは、ハイエンドなプライスタグが並ぶマクラーレンの中でも、エントリーに位置するモデルだ。
先代モデルとなるGTから15psの向上を図られ、最高出力は635psを誇る。が、『GT』、つまりグランドツアラー=長距離を快適に走行できる高性能な自動車、というセオリーはちゃんと活きていて、ドライバーを振り回すような素振りは一切見せない。
4リッターV8ツインターボエンジンという勇ましい諸元だけれど、高速道路では回転も低く抑えられ、テールパイプからのサウンドすらもささやかだから、周囲に気後れすることもない。むしろGTからさらに拡張されたエアロパーツのおかげで、速度を上げればスッと路面に吸い付くような直進安定性をみせ、見た目の勇ましさからは想像出来ないほどの快適さがキャビンに満ちる。私はハンドルにそっと手を添えているだけでいいのだ。
高速道路からは左手に、薄く冠雪した山々が美しく陽を浴びている。
山間部に差し掛かったとき、急に雨粒が落ちてきた。
しかし、それを残念な気持ちにさせないのがGTS。なんとワイパーを動かさなくとも、雨滴がどんどん後方に流れていくのだ。マクラーレンの誇るテクノロジーの真髄のひとつに、エアロダイナミクスがある。F1で磨かれた空力技術が市販車にも導入されているのだが、それを見える化してくれるのがこの雨滴の流れでもある。
まあ、もちろんマクラーレン福岡スタッフ渾身のメンテナンスのおかげもあるが、フロントガラス下方からルーフ方向に、美しく扇型に流れ去る雨滴たちには心から感激してしまったし、長崎の空はそのあと、根本までくっきりと浮かび上がる、大きな虹を見せてくれたのだった。