【マクラーレンGTSで疾走!】今井優杏の九州・長崎トリップ

公開 : 2025.01.10 17:20

長崎の坂をエレガントに駆け抜ける

しかしせっかくのGTSなのだから、ちょっとはワインディングも試したい。長崎市内に入る前に寄り道してみることにした。女神大橋から稲佐山に抜けるあたりなど、起伏に飛んだ絶景とハンドリングを試せる素晴らしい道が、坂の街長崎にはたくさん存在している。

グランドツアラーとはいえ、ハイスペックなスポーツモデルを感じさせるのは、やはり前20、後ろ21インチを装着したハードな足元だ。これにかっちりとしたブレーキのフィールと、コーナリング時にハイグリップを生み出すエアロの効果も手伝って、まさに地を舐めるようなビタッと張り付くコーナリングを堪能することが出来る。タイトなドライビングポジションを生み出させる小径ステアリングも、鼻先がどんどんコーナーの出口を目指すような、至極クイックな反応を見せる。

GTSにはドライビングモードが用意されていて、センターコンソールに備えられたダイヤルにてコンフォート、スポーツ、トラックと3段階があるように見える。が、実は『何も押さない』デフォルトモードも含めると、計4つの走行が楽しめるのだ。

このデフォルトはコンフォートとスポーツの間に位置するモノだけど、こういったワインディングでは断然、スポーツモードが気分なはず。しかし、一般道のワインディングは時折、路面が荒れていることも。マクラーレンの特徴として、走行モードがパワートレインとダンパー、それぞれに設定できるのだが、こういうときにそれが効いてくる。路面がきれいなときにはダンパーもスポーツに、あまりにガタガタと荒れているようならダンパーだけコンフォートでパワートレインはスポーツに、と、クルマと同乗者を労る選択ができるのがスマートだ。

長崎市内は路面電車の線路が敷かれ、スーパースポーツで走る場合は慎重さを要求される道路環境を持つ街だ。いくつかの観光地に立ち寄ったあと、ホテルを目指したときにはもちろん、コンフォートモードを選択した。

これほどのスポーツモデルに乗っておきながらこう言うのは少し気が引けるけれど、実はこのコンフォートモードの制御が特に素晴らしかった。スポーツモードがエキサイティングなのは当然ながら、モタつきすぎずに程よくいなされたパワートレインと、急にしなやかになるダンパーのセッティングの組み合わせは、特に旅においてとても快適だ。

福岡市街地でも、長崎市内でも、外から見たらよもやこれほど快適性の高いダンピングを楽しんでいるとは思われるまい。この大胆な味の差も、GTSの魅力だと感じる。

さらに、これだけ高低差のある長崎だけれど、653psの出力のおかげで坂道という坂道を軽やかに駆け巡れたことも、実にエレガントな気分にさせてくれた。

まあ、最もプリンセスな気分に浸らせてくれたのは、長崎マリオットホテルのエントランスで、ディヘドラルドアから降り立ったときではあったのだけれど!

マクラーレンGTS 公式サイトを見る

記事に関わった人々

  • 執筆

    今井優杏

    Yuki Imai

    自動車ジャーナリスト/ モータースポーツMC。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。奈良県出身。 自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに新車試乗レビューを寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車とモータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。大型自動二輪免許所持。BS日テレ「おぎやはぎの愛車遍歴」MC(毎週土曜日21時〜)。YouTube「今井優杏の試乗しまSHOW」クリエイター。FM大阪「今井優杏のRadio Test Drive」パーソナリティ(毎週土曜日19時30分〜)。角川春樹事務所刊行「大人百花」に「自動車ジャーナリスト今井優杏さんの生涯愛せるクルマ選び」連載中。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

関連テーマ

おすすめ記事