マツダ・ロードスター
公開 : 2015.03.20 23:00
パワートレイン
絶対性能を求めるのではなく、人がクルマを楽しむ感覚を重視していたのは、初代から変わらないテーマだ。今回新たに採用されたパワー・ユニットは、SkyActive-G 1.5というアクセラにも搭載されている1.5ℓのノーマル・アスピレーション・ユニットである。しかし、排気量こそ同じだが、燃焼室以外は完全にロードスターのために新設計したものだという。
エンジン本体で言えば、スチール・クランクシャフト、シリンダー・ヘッド・ブロック、バルブタイミング、軽量ソリッド・フライホイール(MTのみ)、アルミニウム製ヘッドカバーまでも専用のものとなる。また、吸排気系も徹底した脈動効果と抵抗低減が追求されている。アクセラではループ・タイプのエグゾースト・マニフォールドが使用されていたが、ロードスターのものは4-2-1タイプ。インテーク・マニフォールドの管長の最適化や、低背圧サイレンサー、ストレート排気系の採用なども行なわれている。当然ながら、トルクカーブも見直され、高回転で人が感じる加速度が維持される、最後までエンジン回転数を使い切りたくなるような伸び感を演出したという。
更にそのチューニングはエンジン・サウンドにまで及んでいる。低回転域ではサイレンサーのチューニングを中心に軽快感のあるサウンドを、中回転域ではデフ・マウントに50gのウエイトを装備し周波数をコントロールして鼓動感を感じさせるサウンドを、そして高回転域ではカウンターウエイトの形状に一工夫をこらして伸びのある純音を奏でるようにしたのだ。
具体的なエンジン・スペックは、φ74.5×85.4mmのボア、ストロークによる1496ccの排気量。燃料供給はダイレクト・インジェクションで、圧縮比は13.0:1。ヘッドはDOHCの16バルブというもので、131ps/7000rpmのパワーと、15.3kg-m/4800rpmというトルクを持つ。
ちなみに燃費は、マニュアル・トランスミッションで17.2km/ℓ、マニュアル + i-ELOOP + i-stop で18.8km/ℓ、オートマティック + i-ELOOP + i-stop で18.6km/ℓという値だ。
ギアボックスは、ベーシック・グレードのSのみが6速マニュアルのみ、上位2グレードには6速マニュアルおよび6速オートマティックが用意される。マニュアル・ミッションはSkyActive-MTと呼ばれるもので、今回ロードスターに搭載するために、全ての構成部品の機能配分を見直したという。マニュアル・ギアのギア・レシオは、6速がオーバードライブではなく、1.000というダイレクトなものとなっているのも特徴の一つといえるだろう。また、初代モデルから変わらない40mmというショート・ストロークを維持しつつ、限界までリンク系の摺動抵抗を軽減し、シフトの吸込感や滑らかさを追求している。更に、クラッチのストローク、重さ、ミート・ポイントなどについても重要視したという。一方、オートマティック・トランスミッションはアイシン製で、パドルシフトを備えるもの。通常のモードに加え、ドライブ・セレクションで高いギア比を選択するスポーツ・モードを選択可能だ。また、シフトダウン時には自動的にブリッピングを行う。
シャシー
ボディは先代から単体で20kgほど軽量化された。ホワイト・ボディの状態で、高張力鋼板、超高張力鋼板、アルミニウムの使用比率は、先代の58%から71%にまで上がっているという。特にアルミニウムは、先代でもボンネットやトランクリッドには使用されていたが、今回の4代目では左右のフロント・フェンダー、ソフトトップのヘッダー・パネル、フロント&リア・バンパー・レインフォースメント、シートバック・バー、バルクヘッドなどに拡大採用されている。更に、足まわり関係でも、フロント・ナックルを新たにアルミニウム化している。
サスペンション・レイアウトは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンクでという形式。フロント・スタビライザーはすべてのモデルに標準で、上位2モデルのマニュアル・トランスミッション・モデルにはリア・スタビライザーとLSDも装備される。
2つめの “感(かん)” である、誰もが夢中になるドライビング体験、は、先述のパワートレインとこのシャシーによって実現されている。サスペンションはジオメトリーの最適化を行い、コーナリング中のコントロール性を増すためにサスペンション・ダンパー・マウントの剛性を確保。また、ターン・アウト時におけるリアへの荷重移動コントロールを向上させるために、ダンパー・レバー比変化の最小化と、リア・サスペンション・コンプライアンス・ステアの調整を行っている。
今回、ロードスターとてして初採用となったのが、電子制御のパワー・ステアリングだ。これはダブル・ピニオン式で、その狙いはレスポンスをダイレクトにアシストしつつも、不要なキック・バックを低減する狙いがある。
ブレーキはフロントがベンチレーテッドの4輪ディスクで、制動時にドライバー目線を安定化させる狙いで、ピッチング・センターをドライバー位置に設定している。また、荷重コントロールの正確性のためにブレーキ特性のリニア化も行っている。
タイヤおよびホイールのサイズは、すべてのグレードに共通で、195/50R16サイズに6 1/2Jという組み合わせだ。ちなみに、プレス向けの試乗会に用意されたモデルは、すべてヨコハマ・アドバン・スポーツV105という銘柄であった。