スズキ・アルト・ラパン
公開 : 2015.06.03 21:50
インテリア
ラパンの資料で一番驚かされたのが、”女性がクルマのインテリアになにを求めるか” という件である。それによると女性たちは、車内のインテリアはくつろぎの空間となるべきで「自分の部屋のようであって欲しい」と望んでいるそうだ。タコメーターが中心に位置した剥き出しの内装、マニュアルシフトにノンパワーのステアリング、空調なしのコクピット。そんな要望は影も形もない。
それを映し出すように、ラパンの車内は風通しがよくどこまでも明るい。カフェのテーブル調のインパネにはフォトフレームを思わすナビゲーション・パネルが配され、助手席側には引き出しタイプの収納が備わる。運転席のメーターは置き時計のフォルムで、軽自動車初のメーター音声機能がついている。速度計の液晶部に目を凝らすと、うさぎのキャラクターが表示され、引っ切りなしに跳ねまわっていた。そのうち「こんにちは」、「ドアが開いてます」などと話し始めたので慌ててエンジンを切ると「SEE YOU」と言い残して巣に帰っていくではないか。
パイピング飾りのついたソファ・スタイルの運転席で、なにかまばゆいものでも見るようにそれを見届ける自分がいた。理想の女性像というものがしずかちゃんで止まっているわたしにとっては、これこそ運命のひとが住む部屋なのかもしれない。
前席のベルトラインは先代比で35mm下がり、ヒップポイントは10mm高くなった。新型アルト同様にルーフ・ライニングとピラー・トリムの張り出しが抑えられているので、運転席に圧迫感はない。エアコン吹き出し口は弱酸性のナノイーを放出、フロントドア・ガラスは紫外線を99%カット、さらに赤外線も抑えるというプレミアムUV&IRカットガラスが女性の肌を守る。7インチ画面のメモリーナビは、指紋がつきにくいディスプレイを採用し、DVD、フルセグTVに対応している。
シャシー&ボディ
女性好みの快適なインテリア空間の実現には、スズキの新世代プラットフォームの利点が発揮されている。アルトと共用するプラットフォームを採用したことで、先代と比べ室内長が105mm、前後乗員間距離が60mm延長され、フロントの左右乗員間距離も30mm拡大した。また、バックドア開口部の下部を50mm拡大し、荷室開口部の地上高を30mm下げ、荷物を出し入れしやすい構造にすることもできた。4名乗車時の荷室容量は2代目に比べて30ℓ拡大している。
車両重量は650kgから730kg。先代のFF/CVTモデル比で120kgの重量減に成功している。軽量化寄与率はボディ関係が50%で、超高張力鋼板の使用範囲がボディ全体の約16%に拡大されたことが効果をあげている。
そのほかにも、前後サスペンションのストロークを拡大して乗り心地を向上したり、可変ギアレシオ・ステアリングを採用し、車庫入れなどの低速時の操作負荷を低減するなど、ラパンのキャラクターにあった仕上げが施されている。