アウディTT

公開 : 2015.08.20 21:50

パワートレイン


搭載されるエンジンは、すべて1984cc4気筒DOHC16バルブにインタークーラー付きターボチャージャーを装備したものだが、従来の2.0TSFIユニットに対して数多くの更新がされているという。最も大きく異なるのが、従来型は後方吸気、前方排気というレイアウトだったのに対し、新しいユニットは前方吸気、後方排気と180°異なったレイアウトで、しかも後方に20°ほど傾けてマウントされることになる。また、エグゾースト・マニフォールドと一体型のシリンダー・ヘッドと、2つの冷却ループを用いたサーマル・マネジメント・システムを採用したことにより燃焼効率を上げている。燃料供給はダイレクト・インジェクションであるが、中速/中間負荷以下ではポート噴射(関節噴射)も併用する。更に、燃料効率を上げるのとともに中低速域でのドライバビリティ向上のため、アウディ・バルブリフトと名付けれた可変バルブ・システムと可変カムシャフト・システムが採用されている。

また、4カウンターウエイトのクランクシャフト、軽量ポリマー製オイルパン、高強度軽合金製ピストン、アルミ製ネジなどの採用により、内部抵抗を減らすと同時に、エンジン単体の重量を140kgに抑える工夫がされている。

この他、燃費改善のためにすべてのグレードのエンジンにアイドリング・ストップ・システムとエネジー・リカバリー機構が装備されている。

TTに搭載されるパワー・ユニットは、230ps/4500-6200rpm、37.7k-m/1600-4300rpm。これは従来の2.0TFSの211ps、35.7k-mよりも19ps、2.0kg-mほどアップした値だ。また、燃費に関しても、同じTT 2.0TFSIクワトロで13.0km/ℓから14.7km/ℓと大きく向上している。

一方、TTSに搭載されるハイパワー・ユニットは、それまでの272ps、35.7kg-mから14ps、3.0kg-mアップした286ps/5800-6200rpm、38.7kg-m/1800-5700rpmというスペックを持つ。また、燃費も11.8km/ℓから14.9km/ℓへと向上している。このTTS用のパイパワー・ユニットは、ターボチャージャーの加給圧が0.8から1.2barに上げられているほか、ピストン、コンロッド、ベアリング・シート、バルブ・スプリング、バルブ・シート・スプリングが専用の高耐久性を持つものに変更されている。また、シリンダー・ヘッドもアルミシリカ合金を使用した専用のものとなっている。

トランスミッションは共に6速のデュアル・クラッチ(Sトロニック)で、パフォーマンスはTTが0-100km/h加速5.3秒、TTSが4.7秒。最高速度は共にリミッターで250km/hに制限されている。なお、このSトロニックには、アクセル・オフ時にエンジンをドライブシャフトから切り離し、無負荷走行させるフリー・ホイーリング機構(アウディ・ドライブ・セレクトがエフィシエンシー時に作動)と、急発進時にホイールスピンを防ぐラウンチ・コントール・プログラムも新たに採用されている。

上位3モデルに搭載されている4WDのクワトロ・システムも今回のTTに搭載するにあたり新たな機構が搭載された。基本的にTTに搭載されるクワトロ・システムは日常はFWDとして走行し、必要に応じてリア・ホイールにも駆動力を伝えるオン・デマンドの4WDシステムだ。通常はリア・ディファレンシャルの直前に搭載されている電動油圧式の多板クラッチ・ユニットによってトルク配分を行うが、このクラッチ・ユニット自体が従来型よりも1.5kgほど軽量化されている。また、そのソフトウェアが、今回新たにアウディ・ドライブ・セレクトのシステムとのリンケージするようになった。つまり、ステアリングの切り角などの運動性能に関するデータがクワトロ・システム制御の判断材料に加味されるようになったのである。これにより、状況を事前に判断し、アクティブにトルク配分を行うことができるようになったのだ。

なお、高いトラクションが必要とされる時には、センターデフは前後方向のデフロックとして働き、ESPシステムに内蔵されたトルク・ベクタリング機構が横方向のデフロックとして働くこととなる。

クワトロ・システムにも、今回、燃費効率の改善というテーマが与えられた。アウディ・ドライブ・セレクトがエフィシエンシー・モードの際には、クラッチ・ユニットが常に切り離された状態となり、必要時にのみ4WDシステムが稼働するようになるという仕組みが組み込まれた。これにより、ヨーロッパの公式モードではCO2排出量が1.5g/kmほど向上しているという。

シャシー

TTはアウディ/フォルクスワーゲンのMQBプラットフォームを使用する。2505mmというホイールベースは、MQBの中では最も短い。ボディ・フレームの上部はほぼ軽量なアルミニウム製で、これによりクルマの重心点が従来よりも10mmも低くなっている。アンダー・ボディでは重量比で約1/4ほどに熱間成形鋼板が使用される。これは特殊な製法を使ってプレスする工法で、極端に張力の高いアイアン・カーボン構造のパネルを作製するというもの。ボディのアウター・パネルはすべてアルミニウム製だ。また、ロードスターでは、剛性低下を補うために、サイドシルからリア・ホイールハウスにかけて念入りな強化が施されているという。

このMQBプラットフォームに吊られるサスペンションは、フロントがマクファーソン・ストラット、リアが4リンクというレイアウト。これはMQBプラットフォームに共通のもので、リアのシステムはモジュラー・パフォーマンス・サスペンションと名付けられている。

ステアリングは、このTTから切込み量が多いほどギア・レシオが速くなるプレグレッシブ・ステアリングが採用された。これは、高速走行時の安定性を確保しながら、低速時の取り回しを良くしようというのが採用の狙いだ。また、このパワー・ステアリングには、レスト・リコメンデーション、アウディ・アクティブ・レーン・アシスト、パーク・アシストといったアシスタント・システムと連携し、状況に応じてドライバーに警告を与えたり、ステアリングを自動補正したりという機能が与えられている。

ブレーキは、TTがフロントがφ312のベンチレーテッド、TTSがフロントがφ338のベンチレーテッドで、リアがソリッド・ディスクとなる。特にTTS用としてはアルミニウム製の固定キャリパーを備えたもので、従来型よりも約5kgの軽量化がなされているという。

ホイールおよびタイヤは、ベーシックな2.0TSFIのみが17インチに245/45サイズのタイヤ、それ以外の3グレードは18インチで245/50サイズのタイヤが標準で組み合わせられる他、オプションとして19インチも用意される。ちなみに2.0TFSI用の17インチ・ホイールは単体で8.7kgと非常に軽量。また、オプションの19インチも10.6kgと同サイズのものとしては軽量に仕上げられている。

全グレードにアウディ・ドライブ・セレクトが装備される。これはコクピットにある切り替えスイッチで、ドライバーが、コンフォート、オート、ダイナミック、エフィシェンシー、インディビデュアルの5つの好みの走行モードを選択できるもの。この切り替えによって、スロットル・レスポンス、Sトロニックのシフト・ポイント、クワトロ・システムの制御、オートマティック・エアコンの制御などが変更される。更に、TTSではアウディ・マグネティック・ライドを搭載されるが、これはアウディ・ドライブ・セレクトに応じて可変ダンパー・システムの制御プログラムも自動に切り替えるというものだ。

また、ESC(エレクトロニック・スタビリゼーション・コントロール)も、全グレードに標準装備される。このESCは、スポーツ・モード時にはその効きをキャンセルすることができる。

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