BMW 7シリーズ
公開 : 2015.10.07 21:50
パワートレイン
映画のなかでトム・クルーズはよく走る。奪われた証拠を取り戻すため、人質となった仲間を救うため、とにかく走りつづける。彼らほど、スペックの高いクルマを必要とする人間もいないだろう。
新型のエンジン・ラインナップは、740i/Liが3.0ℓ直6ターボ。326ps、45.9kg-mを発揮するこのガソリン・エンジンは、クランク・ケース、シリンダーヘッド、オイルパンをアルミ製にして軽量化するとともに、水冷式インタークーラーをインテークマニホールドに統合し、燃焼効率とレスポンスを高めた。
そのパフォーマンスは740iを5.5秒で100km/hまで加速させる。燃費はJC08モードで12.2km/ℓだ。
一方の750i/Liは、4.4ℓV8ターボ・ガソリン・エンジンで、450ps、66.3kg-mというハイ・スペックだ。圧縮比の変更と改良により、燃費、CO2排出量ともに約10%の向上を果たした。組み合わされるトランスミッションは、740/750ともに8速オートマティックで、後輪を駆動する。
そして、2016年にラインナップに加わるのが、プラグイン・ハイブリッド・モデルである。2.0ℓ直4ターボに高出力モーターを組み合わせ、326psを発生する一方で、eDriveによるCO2排出量は1kmあたり49gに抑えた。最長40kmのゼロ・エミッション走行ができるフラッグシップ・サルーンというのだから待ち遠しい。
シャシー&ボディ
BMWの先進技術の象徴的存在といえばi8、そしてi3だろう。そのBMW iで培ったノウハウが7シリーズにも盛り込まれている。
新型のボディ・コンポーネントは、CFRPとアルミニウム、超高張力スチールを複合したカーボン・コアを世界初採用する。
その効果が数値に表れたのが、先代比130kgという軽量化だ。ドア、トランクリッドなど、ボディおよびシャシーにアルミを多用したほか、サスペンション、ブレーキ、ホイールにも徹底した軽量化を施し、バネ下重量は先代比で15%削減している。
そのサスペンションは、前輪がダブル・ウィッシュボーン式、後輪がインテグラル・アーム式で、それぞれにセルフ・レベリング機能つきエア・スプリングを搭載。これは、フロントとリア両軸のセルフ・レベリング機能と、電子制御式ダンパーを組み合わせるもので、フラッグシップにふさわしい、しなやかな乗り心地を生むという。
時速35km/h以下の低速域では、段差の乗り越えや駐車時の取り回しに備え、車高を任意に20mm高くできる。一方で高速時や、スポーツモードを選択したときには、車高を10mm下げて走行安定性を高める仕掛けだ。
また、ステレオ・カメラによる前方検知機能を用いたサスペンション・システム、エグゼクティブ・ドライブ・プロを新たに採用。これにより、路面の凸凹を検知し、継続的にサスペンション調整を行うことができる。