スズキ・エスクード

公開 : 2015.10.15 21:50

シャシー&ボディ

ゆさり、ゆさりと、こぶを一つ、二つ越えてみると、新型の車両重量がこれまでと明らかに違うことが分かる。

そばにいたスズキの関係者にスペックを尋ねた。「車両重量は1140kgになります(4WD: 1210kg)。新機種なので比較対象はないのですが、エスクード2.4ℓとあえて比べると、480kg軽いですね」

新種はまったく別のクルマということだ。

スズキの得意技とも呼べる軽量化技術は、高張力鋼板の使用比を50%まで増やした軽量ボディと、クルマを構成するあらゆる要素を地道に軽くしていく作業の成果だ。

例えば、リアのサスペンションはパイプ潰しトーションビームを採用し、軽量化と高剛性化を両立している。フロントは横剛性を高めたマクファーソン・ストラットを選んだ。こちらは操縦安定性を向上するために、ステアリング・ギアボックスをサスペンション・フレーム直付けとし、取付剛性を高めている。

最低地上高は185mm。アプローチアングルは18.2°、ランプブレークオーバーアングルは17.7°、デパ―チャーアングルは28.2°だ。

パワートレイン

スズキは新型エスクード導入によって自社のSUVを3種に大別した。“本格クロカンタイプ” は最低地上高180mm以上、4WDにLOWギアを持つものとしており、エスクードの2.4ℓモデルとジムニーという布陣。“クロスオーバータイプ” は最低地上高180mm以下、4WDにLOCKモードを持つもので、SX4 S-クロスがこれにあたる。そして、その中間が “SUVクラス” で、最低地上高180mm以上、4WDにLOCKモードを持つものだ。

今回のモデルはこのゾーンに入るため、クロスオーバーの気軽さと、本格クロカンの走破性を兼ね備えたパワートレインが与えられた。

エンジンは、スイフト・スポーツやSX4 S-クロスにも搭載する1.6ℓ M16A型。最高出力117ps、最大トルク15.4kg-mを発揮する。エンジン・マウントは、近年スズキが多用しているペンデュラム式とし、排気系・冷却系の改良とあわせ、エンジンの軽量化を進めた。燃費は、FFが18.2km/ℓ、4WDが17.4km/ℓだ。

トランスミッションは、国内初採用となる新開発の6速オートマティック。発進加速および登坂性能を向上し、高速域の静粛性と燃費を高めたことにくわえ、マニュアルモード付きパドルシフトを採用した。

こうしたパワートレインに “SUVクラス” としての走破性を与えるため、新型エスクード専用の2つの機能がALLGRIP 4WDシステムに取り入れられた。

これは、前後の対角2輪が空転する状況で、LOCKモードへ切り替えることなく、グリップした車輪に多くのトルクを伝える仕組みだ。SX4 S-クロスではLOCKへの切り替え操作が必要なところを、スリップする車輪に電子制御で強いブレーキをかけることができる。

これにくわえ、LOCKモード選択時には、さらに強いブレーキ量をあたえ、エンジン出力を弱めずに多くのトルクをグリップしたタイヤに伝える、進化版ALLGRIPが採用されている。

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