レクサスGS F
公開 : 2015.11.25 23:00
パワートレイン
レクサスは1990年代に北米でプレミアム・ブランドとしての立ち位置を確立した。日本でのブランド展開は2005年にはじまったが、クルマ好きの間で本当の評価を得たのは、2009年に生まれた2代目のFモデル、LFA以降だろう。
レクサスは、そのFの要素を「サウンド」「レスポンス」「伸び感」の3つだとしている。そんなことを考えながらスタートボタンを押すと、GS Fは力強いハスキーボイスで雄叫びを上げた。
GSの3.5ℓV6に対し、GS Fには最高出力477ps/7100rpm、最大トルク54.0kg-m/4800-5600rpmを発揮する5.0ℓ直噴V8自然吸気エンジンが与えられた。吸排気バルブの電動連続可変制御を見直したことに加えて、一基ずつ回転バランスを調整し、レスポンスと加速時の伸びをFの名にふさわしいものにしたという。
組み合わされるトランスミッションは8速オートマティック。こちらもMポジション選択時には最短0.1秒の変速を実現する本格派だ。
駆動方式は後輪駆動。JC08モード燃費は、RC Fと同じ8.2km/ℓを達成した。
シャシー&ボディ
ここまで読んで気になるのは、サイズや車重が小さいクーペのRC Fに匹敵する走行性能を、4ドア・セダンのGS Fで実現できるのかということ。全長4705mm、車重1780kg、ホイールベース2730mmのRC Fに対し、GS Fは4915mm、1830kg、ホイールベースは2850mmで120mmも長い。
そこでレクサスは、クルマの基本性能となるボディ剛性を徹底的にチューニングした。レーザー溶接、スポット打点の増し打ち、高剛性ガラス接着剤、レーザー・スクリュー・ウェルディング、専用アンダーブレースといった最新のボディメイク・テクノロジーを採用し、車重を抑えたまま効率的なボディ補強を進めたのである。
一方で、前後異形サイズのタイヤを採用したことにより、サスペンションにも変更が生じ、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式という足まわりに、専用チューンを適用し最適化した。
こうした装備にくわえ、コーナリングの質を高めるために、RC Fではオプション設定だったトルク・ベクタリング・ディファレンシャル(TVD)を標準装備した。これにより、後輪左右の駆動力配分を適正に制御し、コーナリング前のブレーキングから、旋回中、脱出時まで駆動力を無駄にすることなく、タイヤの性能を引き出すことが可能になった。このTVDには3つのモードが用意され、軽快感と安定感をバランスした「スタンダード」、クイックなステアリングレスポンスを楽しめる「スラローム」、高速コーリング性能を高めた「サーキット」を選択できる。
また、運転支援統合制御(VDIM)についても、前述のTVDとの協調制御、上下加速度センサーつきABS制御などにより機能を進化させた。
足元には前後ともにブレンボ製アルミ対向モノブロック・ブレーキキャリパーを奢り、タイヤは前255/35ZR19、後ろ275/35ZR19のサイズを履く。