ホンダ・フリード/フリード・プラス
公開 : 2016.09.16 02:40
インテリア
最上段の画像は、フリード・プラスにマットレスを敷いた写真である。フルフラットといっても、フロア状に平坦にできなければ寝られたものじゃない。車中泊の経験者なら知っているだろう。その点、このクルマは真っ平らにできる。
2列仕様、乗車定員5名となるフリード・プラスでは、後席をたたみシート・バックボードをセットすれば、大人2人がくつろげる “おやすみモード” になる。せっかくなので360°画像でも確認して頂きたい。
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先代フリード・スパイク比で-185mmとした超低床ラゲッジは26インチ自転車を2台積載できる。なんとゴルフバックにいたっては縦積みが可能だ。これを実現するためにフリード・プラスでは、排気系パーツがフリードとは異なる専用設計品になっている。
一方の3列仕様のフリードは6人乗りと7人乗りを選べ、どちらも1・2列目のフラットモード、2・3列目のフラットモードにくわえ、2名乗車+最大ラゲッジモードなどの実用的なシート・バリエーションを利用できる。
2列目の左右座席を独立させたキャプテンシート・タイプの場合、シートスライド量は先代比で120mmも延長された。ほかにも、1〜3列目のヒップポイント間距離を90mm延長し各シートの居住性を向上。1列目シートの左右間隔は、ウォークスルーをしやすくするために50mm広げている。
また、スライドドアの開口部が先代比で20mmプラスされ、ステップ幅も広くなったことで3列目へのアクセス性が向上している。両側スライドドアは、ハンドルを引くだけで自動開閉するイージーオープナー機構を採用した。
フリード/フリード・プラスともに運転席に乗り込んでみたが、視界は実に開放的だ。フロント・コーナーウインドウの追加と細くされたピラーにより側方視界が向上したのが利いている。
シートの座り心地はなかなかのレベルだ。腰部を面で支え、背中を3本のバネで支える前席構造にしたことで、ワンランク上といえる出来になった。
パワートレイン
新型はハイブリッドのパワーユニットを、先代の3列目シート下から1列目シート下へ移動したのが大きなトピックだ。
フリード/フリード・プラスともにハイブリッド車とガソリン車の2モデルを用意するが、ハイブリッド・システムのコンパクト化はホンダのお家芸である。リチウムイオン・バッテリー内蔵IPU(インテリジェント・パワーユニット)を小型軽量化し、助手席下に移したことで、4WD車にもハイブリッド・モデルが登場したのは嬉しいことだ。
搭載するハイブリッド・システムは、モーターのみのEV走行も可能なスポーツ・ハイブリッドi-DCDで、アトキンソンサイクル・エンジンとモーター内蔵7速デュアルクラッチを組み合わせている。走行モードは3種類のなかから自動的に選択され、発進・低速ではEVドライブモード、加速時はハイブリッド・ドライブモード、高速クルーズではエンジン・ドライブモードで走行する。
そして、ホンダはフリードのハイブリッド・システムに世界初の技術を採用した。ハイブリッド用モーターの磁石は、一般的なフェライト磁石の10倍の磁力を有するネオジム磁石を使用する。これにより小さなモーターでも強力な回転を生み出すのだが、ネオジムは熱による減磁が大きいことから、世界的に資源の少ないジスプロシウム、テルビウムという成分を加え耐熱性を確保しなければならない。
ホンダは、大同特殊鋼株式会社と共同開発を進め、ナノレベルの結晶粒を配向させる技術により、こうしたレアメタルをまったく使用せずに耐熱性が高いモーターをつくることに成功した。
ハイブリッド車の1.5ℓエンジンは110ps/6000rpm、13.7kg-m/5000rpmを、モーターは29.5ps/1313-2000rpm、16.3kg-m/0-1313rpmを発揮。通常運転とアトキンソンサイクルを使い分けるうえ、専用設定のギアレシオを採用したことにより燃費はクラス・トップレベルの27.2km/ℓとなった。
もうひとつのパワートレインであるガソリン仕様は、1.5ℓの直噴エンジン(131ps/6600rpm、15.8kg-m/4600rpm)とCVTの組み合わせだ。こちらはアイドリング・ストップと各部のフリクション低減により、19.0km/ℓの燃費を達成している。
また、ハイブリッド/ガソリンともに設定される4WDモデルは、専用の電子制御リアルタイムAWDを採用。降雪地域でも安心感のあるコーナリングをパワートレイン種別に依存せず味わえるようになった。
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