超・徹底解説 BMW 5シリーズ
公開 : 2017.01.12 05:50
BMW 540i 現地試乗
全面刷新した5シリーズは、最新のコネクティビティ・システムとドライバー・アシストに注目。“駆けぬける歓び” は、当然ながら標準装備だ。
7世代目へと移行した5シリーズは、代々変わらぬ名声を受け継ぎ、また大いなる期待を背負って生まれたクルマだ。1972年の初代誕生以来、このBMWのミドル・サイズは、世界中で800万台を超えるセールスを記録してきた。09年に登場した先代のF10系だけでも、販売台数は220万台に達する。
永遠のライバルともいうべきアウディA6とメルセデス・ベンツEクラスに加え、近年ではジャガーXFなど新たな挑戦者も参入するプレミアムEセグメントに、5シリーズは属している。
G30とのコードネームで呼ばれるこの新型が、この戦いに勝利し、過去44年にわたるサクセス・ストーリーの続編にふさわしい出来栄えを示したなら、強力な競合モデルを凌ぐばかりでなく、歴代モデルがしてきた以上にこのセグメントの基準を大きく引き上げることだろう。
たった5年ほどのスパンで全面刷新された新型5シリーズは、特筆に値するほど軽量で、しかも空力性能もこれまでにないほど進歩した。さらに、エンジンは大幅アップデートされ、大ヒット作となった先代モデル以上に速く、経済的なクルマに仕上がっている。
ただし、それらにも増して注力されたのは、数々の最新シャシー技術の導入だ。その狙いはクラス・ベストのハンドリングカーという地位を固めなおすことだけでなく、定評ある運動性能に優れた快適性をミックスすることにもある。現状にあぐらをかくことなく、より性能向上を追求し、ますます広い範囲にアピールしようというわけだ。
この新型セダンには、現行7シリーズの色濃い影響が見て取れる。先代よりフォーマルで、ややコンサバティブなルックスはその最たるものだ。ボディ・サイズの拡大に気付きにくくなっているのは、この変化の効果だといえるだろう。全長は36mm伸びた4935mm、全幅は6mm拡大の1868mm、全高は2mm増の1466mmで、ホイールベースは7mm延長されて2975mmというのが、G30のディメンションだ。
この外寸拡大は、もちろん室内スペースの増加にもつながっている。とりわけ顕著なのが、後席の居住性改善だ。前後合わせて5名の成人が乗車しても、各員に十分なスペースが提供される。
後席は左右はもちろん、軽視されがちな中央も適切に着座できるシートであることを明確にした形状に新設計された。リアのオーバーハングが伸びたことで、トランク容量も10ℓ増の530ℓに達している。